福島第一原発の汚水処理を騙る復興社債詐欺グループを摘発
「原発の汚水処理」とウソ…復興社債詐欺が急増
福島第一原子力発電所で採用される汚水処理技術を持つとうそをつき、実態のない会社の転換社債の購入名目に金をだましとったとして、大分県警が摘発した詐欺グループが東京、京都、福岡、熊本など26都道府県の46人から約1億1100万円を詐取していたことが捜査関係者への取材でわかった。
逮捕した5人には指定暴力団山口組系組員が含まれることから、県警は暴力団の資金源になっていた可能性もあるとみて、ほかの共犯者の割り出しなど全容解明を進めている。
5人は東京都練馬区北町3、自称不動産仲介業安河内勝信(37)、福岡市博多区吉塚7、山口組系組員野田敦(37)、大分市大石町5、無職清水純夫(63)の各被告(詐欺罪で起訴)ら。昨年6月、東京都日野市の男性(62)から400万円をだまし取ったなどとして、同月以降に逮捕された。
安河内被告ら2人は容疑を否認、野田、清水両被告ら3人は認めているという。
捜査関係者によると、グループは昨年4月、清水被告が代表取締役だった休眠会社の社名を「クリーンミスト」に変え、水質浄化システムの設計施工・機器販売会社として登記。企業パンフレットと「償還期間は3年か5年。年利15~12%で毎月配当金が出る」と書いた転換社債(1口10万円)の購入案内書を作り、各地の高齢者宅などに送付した。
その後、証券会社員になりすまして「政府は同社の汚水処理技術を福島第一原発で採用すると決めた。上場予定もある。社債があれば2倍の値段で買い取る」などと電話で説明。これを聞き、社債を買おうとクリーン社に連絡してきた被害者から金を詐取していた。
(2012年1月16日09時04分 読売新聞)