オウム真理教の平田 信容疑者(46)が新大阪駅から新幹線に乗る前に、大阪市の地下鉄御堂筋線で、不審な途中下車を繰り返していたとみられることがわかった。
平田容疑者は2011年の大みそか、奈良県内の駅から、天王寺駅で地下鉄御堂筋線に乗り換え、その後、JR新大阪駅に出て新幹線で上京したとみられ、警視庁は、捜査範囲を奈良県に拡大して、平田容疑者の足取りを追っている。
奈良県の橿原(かしはら)神宮前駅を捜査員が訪れ、防犯カメラの映像を確認するなどしたという。
一方、平田容疑者が新大阪駅へ向かう地下鉄御堂筋線で、不審な途中下車を繰り返していたとみられることがわかった。
平田容疑者の姿は、途中の駅のホーム上などで防犯カメラに映っているものの、改札からは出ていないという。
平田容疑者がホーム上などで、出頭前に支援者や協力者と接触した疑いもあるとみられている。
(01/07 21:03)
“平田容疑者”品川駅で路線図見せ尋ねる姿
< 2012年1月7日 11:49 >
オウム真理教の元幹部・平田信容疑者とみられる人物が、東京・品川駅で路線図を見せながら駅員と話す姿が防犯カメラに映っていたことがわかった。
平田容疑者は出頭前、新幹線で新大阪駅から品川駅に向かったとみられている。その後の捜査関係者への取材で、品川駅構内の防犯カメラに、平田容疑者と似た人物が路線図を見せながら駅員と話し、目的地への行き方を尋ねるような姿が映っていたことが新たにわかった。警視庁は、平田容疑者が東京以外で潜伏生活を送り、都内の地理にあまり詳しくなかったとみて調べている。
また、平田容疑者が出頭の際に着ていたダウンジャケットなどについている服のタグが切られてなくなっていたこともわかった。タグには製造元や製品番号などが記されていて、警視庁は、平田容疑者が潜伏先などを特定されないように切り取ったとみている。
品川駅で“切符回収の交渉”
1月7日 19時11分
オウム真理教の元幹部で公証役場の事務長の監禁致死事件で逮捕された平田信容疑者が、出頭当日の夜、JR品川駅で、自分の切符を自動改札機から回収するため駅員と交渉している姿が防犯カメラに映っていたことがNHKの取材で分かりました。警視庁は、指紋がついた切符から乗車駅が特定されるのを免れようとした疑いがあるとみて調べています。
東京・品川区の公証役場の事務長の監禁致死事件で逮捕された平田信容疑者(46)は、去年の大みそかの夜に出頭する前、JR新大阪駅から新幹線に乗って品川駅に来たとみられています。
NHKは、平田容疑者が品川駅に到着したあと、新幹線から在来線に乗り換える改札口付近で撮影された防犯カメラの画像を入手しました。
画像が撮影されたのは午後8時半ごろで、白いニット帽にマスクを着け、メガネをかけているように見えます。腕組みをしながら駅員と話し込んでいる様子も分かります。
平田容疑者は黒いダウンジャケットの内側にピンク色のシャツを身に着けていて、6日に公開された丸の内警察署に出頭した際の防犯カメラの映像と同じ服装に見えます。
平田容疑者が指紋のついた切符を自動改札機から回収するため駅員と交渉していたとみられ、警視庁は乗車駅が特定されるのを免れようとした疑いがあるとみて調べています。
警視庁によりますと、平田容疑者はこのおよそ30分後の午後9時ごろ、品川区のJR大崎駅を経由して捜査本部のある大崎警察署に出頭しようとしたと供述しているということで、防犯カメラの画像はこの供述を裏付けています。
一方、平田容疑者は大阪の地下鉄御堂筋線に乗ってJR新大阪駅で新幹線に乗り換えたとみられ、防犯カメラの映像などから御堂筋線の天王寺駅にいたとみられることが分かっています。警視庁は御堂筋線の駅の周辺で聞き込みを行うなどして潜伏場所の特定を進める方針です。
品川駅から空白の時間
2012年1月7日 夕刊
目黒公証役場事務長仮谷清志さん=当時(68)=監禁致死事件で、逮捕されたオウム真理教元幹部平田信容疑者(46)が出頭した先月三十一日、東海道新幹線で品川駅に到着後、大崎署を訪れる午後九時ごろまでに数時間あったことが、捜査関係者への取材で分かった。警視庁はこの間の行動を確認できておらず、人と接触していた疑いもあるとみて、防犯カメラの解析や聞き込み捜査をしている。
捜査関係者によると、平田容疑者は新大阪駅を午後に出発した。新大阪-品川駅間は、のぞみ号で二時間半かかる。品川駅からは電車と徒歩で大崎署まで二十分もかからずに行けることから、警視庁は「空白の数時間」があったとみている。
また、平田容疑者が着ていたダウンジャケットやシャツのタグがすべてなかったことも判明した。タグには製造番号が記載されていることが多く、製造元や購入先などから潜伏先を特定されないよう、手掛かりになるタグを意図的に取り外した可能性が高い。防犯カメラの解析で平田容疑者は出頭までの間、マスクを着けたり、ダウンジャケットのフードをかぶったりしていたことも分かった。
平田容疑者:服のタグなし、足取り隠すための工作か
目黒公証役場事務長の仮谷清志さん(当時68歳)に対する逮捕監禁致死容疑で逮捕された元オウム真理教幹部、平田信(まこと)容疑者(46)が、足取りを隠すために数々の工作をしていたとみられることが捜査関係者への取材で分かった。移動時はニット帽、眼鏡、マスクなどで顔を隠し、衣服の製造元などが記されたタグは外されていた。既に廃止されたハイウエーカード(ハイカ)を所持しており、捜査をかく乱しようとした疑いもあるという。
警視庁は、平田容疑者が昨年12月31日に出頭する前に経由したとみられる駅などの防犯カメラの映像を分析。このうちJR品川駅では、同日午後8時半ごろに平田容疑者とみられる男が駅員と話す様子が映っており、白のニット帽にマスク姿で、眼鏡を掛けて顔が分からないようにし、手袋をしていた。東海道新幹線に乗車したとみられるJR新大阪駅の券売機でも帽子にマスク姿だった。
また、平田容疑者が出頭時に着ていたフード付きのダウンジャケットやシャツ、ジーンズにはタグがついておらず、警視庁は、タグに記された製造番号から購入先が判明することを恐れて切り取ったとみている。
一方、平田容疑者のリュックサックには、着替えや試供品のシャンプー、くしなどに加え、高速道路で使った形跡のあるハイカが含まれていた。ハイカの裏面には、使用日と残額が印字される。運転免許証など身元を示すものはないのに、古いハイカを所持していた理由は不明だが、捜査の混乱を狙ってあえて所持品に含めた可能性もある。
警視庁は、平田容疑者が支援者や潜伏先が解明されることを阻もうと、出頭前に入念に準備していたとみて追及するとともに、6日には逮捕後の写真を公開して情報提供を呼び掛けている。
7日に接見した滝本太郎弁護士によると、写真が公開されたことについて平田容疑者は「やっぱり出ちゃいましたか」と話し、少し気落ちした様子だったという。【内橋寿明、小泉大士】
毎日新聞 2012年1月8日 2時30分