政府は9日、東京電力福島第1原発事故による放射性物質の除染対策として、11年度第2次補正予算の予備費2200億円を活用することを決めた。環境省は今月から、年間被ばく量が20ミリシーベルトを超えるとみられる福島県内12市町村で、除染の実証事業を始めることを明らかにした。【藤野基文、江口一】
放射性物質に汚染された廃棄物については、国の責任で処理する特別措置法が来年1月に施行され、本格的な除染対策が始まる。実証事業は除染効果などを確かめるのが目的で、南相馬、田村の2市、川俣、浪江、双葉、大熊、富岡、楢葉、広野の7町、飯舘、葛尾、川内の3村で実施する。
除染作業は、汚染された土壌の表面を削ったり水で洗い流すほか、汚染された樹木の伐採、稲わらを集めて取り除くことなどが考えられる。除染する場所や物で方法や効果が異なるため、実証事業では計12事業を行う予定。各市町村で、田畑や住居など別々の対象で除染し、その効果を確かめる。9月中に各市町村が行う事業を決め、10月から本格的に開始。12月までに結果をまとめる。また、福島県外でも、側溝や雨どいなど局所的に線量の高い地点があれば、除染費用を負担する方針も明らかにした。
政府は8月、放射性物質除去の基本方針を決めている。今後2年間の暫定目標として、▽汚染地域の年間被ばく線量を約50%削減▽学校や公園などの徹底的な除染で子どもの年間被ばく線量を約60%削減--することを示している。
毎日新聞 2011年9月10日 東京朝刊
2011/09/10
環境省=福島県内12市町村で、除染の実証事業を開始
東日本大震災:除染、12市町村先行実施 2次補正予備費2200億円を活用