東京都葛飾区の金町浄水場から、乳児向けの暫定規制値を超える放射性ヨウ素131が検出された問題で、都は24日、同日午前6時に採取した水の放射性ヨウ素は1キロ・グラム当たり79ベクレル(速報値)で、規制値を下回ったと発表した。
都は「減少傾向にあり、水道水の安全性は確保された。乳児に水道水を飲ませることを控える必要はなくなった」としている。
食品衛生法に基づく乳児の飲用に関する暫定規制値は100ベクレルで、22日の採水では210ベクレル、23日は190ベクレルだった。一般の人の規制値300ベクレルは超えていなかった。都は、同浄水場が水道水を供給している東京23区や武蔵野市、三鷹市、町田市、多摩市、稲城市では、乳児に水道水を飲ませないよう呼びかけていた。
この日の検査結果を受けて、都は「継続して測定を続ける必要はある。希望者には25日も水のペットボトルを配布する」としている。
(2011年3月24日14時26分 読売新聞)
東京都、乳児の水道水摂取制限を解除
2011年3月25日0時59分
水道水から放射性ヨウ素が検出された問題で、東京都は24日、23区と多摩地区の5市に出していた乳児への摂取制限をいったん解除すると発表した。
金町浄水場(葛飾区)で22、23の両日に採取した水から基準を超える放射性ヨウ素が検出されたが、24日朝は1キロあたり79ベクレルで、基準を下回った。
都は、解除を決めた理由について、(1)放射性ヨウ素が前日の半分以下に下がっていて、今後、急増するとは考えにくい(2)基準を上回ったのは、大気中の放射性ヨウ素が溶けた雨が降ったことが原因――などとしている。
都の対応に対し、厚生労働省は、「放射性ヨウ素の値が変動して再び基準を超える可能性もある。もう少し様子をみた方がいいのではないか」としている。
一方、茨城県日立市は、十王浄水場で298ベクレル、森山浄水場で150ベクレルの、また、同県笠間市も涸沼(ひぬま)川浄水場から170ベクレルの放射性ヨウ素を、それぞれ検出したと24日に発表した。23日に採取した水という。また、栃木県は25日未明、利根川水系の鬼怒川から取水している宇都宮市の松田新田浄水場から24日に供給された水から、108ベクレルの放射性ヨウ素が検出されたと発表した。日立、笠間の両市と栃木県は当分の間、乳児に水道水を飲ませるのを控えるよう呼びかけている。
飲料水確保、各区独自に
水道水の摂取制限は解除されたが、各自治体は飲料水を確保するなど独自の対策に乗り出した。
東京・荒川区は、制限は解除されたが、区内の保育施設でミルクには当面、ミネラルウオーターを使うことを決めた。ただ離乳食については、これまで通り水道水を使う。また2リットル入りのペットボトル飲料水を今月中に6100本、来月中に2万本購入する。担当者は「親の不安を少しでも取り除きたい」と説明する。
豊島区は、災害協定を結ぶ岐阜県関市から飲料水提供の申し出があり、受け入れを決めた。25日朝に10リットル入り容器1000個分の水が到着する予定で、区立保育園などに配布するという。区防災課の佐藤和彦課長は「摂取制限がまたあるかもしれない。水が少なくて心細く思っていたのでありがたい」と話した。
世田谷区役所には24日朝から「出産のため里帰りしていますが水はもらえますか」といった問い合わせが相次ぎ、午後5時までに500件以上に上った。区は25~27日、とりあえず区が備蓄する飲料水を、区立小学校64校で配布する。新宿区も外国籍や里帰り中の母親の分を、区の備蓄を切り崩して充てている。足立区は都支給の3本に1本加え、計4本を乳児のいる世帯に配布する。
大田区はこの日、529ある全ての区立公園の水飲み場に乳児に飲用させないよう注意書きを掲示したが、午後には制限解除に。担当者は「計画停電に続いて振り回されている感じもあるが、非常事態だから仕方ない」とあきらめ顔だった。
(2011年3月25日 読売新聞)