ページ

2011/03/16

14日の3号機爆発事故で負傷したのはテロ対処能力がある中央特殊武器防護隊(埼玉県)の隊員。放射性物質の計測や除染などはできるが、事故を起こした原発の原子炉の冷却作業は経験がなく、本来は想定していない任務

“想定外”の任務に期待されすぎの自衛隊「これ以上何をやれというのか」 



 原子力発電所で爆発や火災が相次ぎ、放射性物質が拡散―。国家的危機に自衛隊は「災害ではなく有事だ」と緊迫した。だが、原発事故対処は想定外の任務で、装備面でも能力をはるかに超える。「これ以上何をやれというのか…」。自衛隊幹部は過度の期待や政府の新たな指示に警戒感をにじませた。

 14日の福島第1原発3号機の爆発事故では、東電社員らとともに自衛隊員4人が負傷した。

 「うちは原発の仕組みなどの知識が十分ないのに、説明不足だった」

 陸自幹部の一人は、原子炉の冷却作業への協力を要請してきた東電や原子力安全・保安院への不信感を漏らした。

 負傷したのは「NBC(核・生物・化学)」テロ対処能力がある中央特殊武器防護隊(埼玉県)の隊員。放射性物質の計測や除染などはできるが、事故を起こした原発の原子炉の冷却作業は経験がなく、本来は想定していない任務だった。

 燃料の大半が溶けるメルトダウン(全炉心溶融)など最悪の事態への懸念が広がる中、別の陸自幹部は「対処するノウハウも装備もない。これ以上何をやれというのか」と困惑を隠さなかった。
[ 2011年3月16日 07:10 ]