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2010/12/08

日米共同統合演習、ロシア軍の妨害によりミサイル防衛訓練を中止

ロシア軍機が日米演習妨害、2機が空域を横切る 外相の北方領土視察に対抗か?
2010.12.8 01:30  産経

 3日から10日までの予定で実施されている「日米共同統合演習」の空域に、ロシア軍の哨戒機2機が進入し、訓練を妨害していたことが7日、分かった。ロシア機は日本海・能登半島沖に設定されていた訓練空域の中心部を横切り、米軍と自衛隊はイージス艦を使った訓練の一部を中止した。政府内では、前原誠司外相が4日に北方領土を上空から視察したことへのロシアの対抗措置との見方が強い。






 今回の統合演習は、中国の海空軍力の増強を念頭に島嶼(とうしょ)部防衛や、北朝鮮の弾道ミサイルの脅威を踏まえたミサイル防衛(MD)の訓練を重視している。北朝鮮による延坪(ヨンピョン)島砲撃を受け、韓国軍も初めてオブザーバー参加し、政府は短距離ミサイル発射など北朝鮮の牽制(けんせい)を警戒していた。その警戒網の間隙(かんげき)を突いたロシアの妨害は、日本周辺の安全保障環境がいっそう厳しさを増していることを象徴している。

 ロシアによる妨害飛行は6日に起きた。2機のIL38哨戒機が統合演習の始まる午前9時を見はからったように、能登半島沖の訓練空域に飛来した。1機は南下し、もう1機は北上する形で能登半島沖で交差するように飛行。日米の演習空域を横切り、正午すぎに姿を消した。

 能登半島沖には海上自衛隊の「みょうこう」、米海軍の「シャイロー」の2隻のイージス艦が展開。いずれも海上配備型迎撃ミサイル(SM3)搭載艦で、SM3は発射しないものの弾道ミサイル発射に対処する訓練を実施していた。

 6日午前の訓練は、MDでの作戦を実施している最中のイージス艦が敵の戦闘機の攻撃を受け、「同時対処」を迫られるシナリオを予定していた。「敵役」の航空自衛隊の戦闘機にイージス艦が「艦対空」攻撃訓練を行う手はずだったが、ロシア機の訓練空域展開で中止された。

 このシナリオは今回の演習でも「最重要」(防衛省幹部)と位置づけられた訓練。統合演習は日本各地で実施されているが、6日は折木良一統合幕僚長も空自小松基地(石川県)で演習を視察しており、シナリオの重要性がうかがえる。

 演習時に他国の軍が離れた海空域で偵察や情報収集を行うことは通例だが、今回のロシア機の飛行は「明らかな妨害行為」(同)と指摘される。訓練空域は公海上空のため、飛行に関して沿岸国に対する通報義務はない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/101208/plc1012080131002-n1.htm