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2010/12/19

韓国・於青島沖で違法操業していた中国漁船が韓国警備艦と衝突し沈没 1人死亡

2010年12月19日 読売新聞
中国漁船が韓国艦に衝突・沈没、取締官に暴行

 【ソウル=仲川高志】韓国海洋警察庁によると、18日、黄海にある韓国・於青島(オチョンド)沖の排他的経済水域(EEZ)で、同庁警備艦(3000トン)の海洋警察官4人が違法操業していた中国漁船(63トン)に停船命令を出し、小型ボートで漁船に乗り込もうとしたところ、漁船員から突然、鉄パイプで殴られるなどの暴行を受け、4人が右腕骨折などの重軽傷を負った。

 漁船は警備艦に突っ込んだ後、沈没した。警備艦と周囲の中国漁船が沈没した船の漁船員10人中、8人を救助したが、1人が死亡、1人が行方不明となり、同庁が捜索を行った。周辺には当時、約50隻の中国漁船が操業していた。
 同庁によると、黄海で中韓両国のEEZは重なっており、完全に画定していないが、現場海域は漁業協定などにより、韓国側のEEZとすることで合意済み。

 韓国外交通商省は18日、在韓中国大使館に対し、電話で「人命が失われる結果となったのを遺憾に思う」と伝えた。中国側は、「行方不明者の捜索などの面で協力していく」と応じた。抗議はなかったという。

          ◇

 菅首相は18日夜、前原外相に衝突事件に関する情報収集を指示した。

(2010年12月19日01時19分 読売新聞)






産経
中国漁船 黄海衝突事件 中国政府、強硬姿勢での処理も 
2010.12.19 01:02
 【北京=川越一、ソウル=加藤達也】沖縄・尖閣諸島(中国名・釣魚島)沖で海上保安庁の巡視船と衝突事件を起こした中国漁船が、今度は韓国海洋警察庁の警備船に体当たりするという危険な行為を再び繰り返した。しかも、取り締まりに抵抗し、鉄パイプや棍棒、スコップで殴りかかり、韓国側にけが人が出る事態になった。

 中国の国際情報紙、環球時報(電子版)によると、中国側はすでに救助艇を派遣し、韓国側にも救助・捜索を要請したという。

 今回は、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件と異なり領有権問題が絡んでいないだけに、両国政府とも穏便に解決する方向で調整するとみられる。

 ただ、インターネット上には事件発生直後から、中国人による「棒子(中国での韓国人の蔑称)が故意に衝突してきた」「韓国はますますつけあがってきた」といった“反韓”の書き込みが寄せられている。

 今回、中国側に犠牲者が出たことにより国民感情に火がついた場合、中国政府が強硬姿勢で事態処理に臨む可能性も否定できない。

 現場付近は中国と韓国の排他的経済水域(EEZ)が重なり合う海域で、境界は画定していない。

 韓国側は、自らのEEZ内で違法操業する多数の中国漁船を拿捕(だほ)している。2008年9月には、全羅南道沖で中国漁船を検問しようとした韓国の海洋警察官が鈍器で殴られ死亡する事件も起きている。

 韓国メディアによると、中国漁船の違法操業がなくならないのは、韓国側に検挙されて納める罰金より、違法操業で得る収益の方が多いためという。今回の事件海域も「黄海の三大漁場の一つ」とされている。





毎日新聞 2010年12月18日
中国漁船:韓国警備艇に体当たり 50隻が違法操業
 【ソウル西脇真一】韓国海洋警察庁によると、18日午後1時ごろ(日本時間同)韓国中西部・於青島(オチョンド)の北西約130キロの黄海で、同庁の警備艇が違法操業中の中国漁船(63トン)を取り締まろうとしたところ、漁船が警備艇に体当たりし、はずみで転覆、漁船乗組員1人が死亡し1人が行方不明になった。一方、鉄パイプなどによる乗組員の抵抗を受け、海洋警察官4人も骨折するなど負傷した。

 海洋警察は、韓国の排他的経済水域(EEZ)内の現場で中国漁船約50隻が違法操業しているのを発見。警備艇が急行し、検索のため1隻に乗り移ろうとしたところ、中国漁船の乗組員が、鉄パイプを振り回すなど猛烈に抵抗した。警備艇に体当たりした漁船は転覆、乗組員10人全員が海に投げ出されたという。

 海洋警察は行方不明者の捜索にあたる一方、事件の経緯を中国政府に通報した。韓国外交通商省高官は在ソウル中国大使館に電話で、乗組員が死亡したことに遺憾の意を伝えた。

 AP通信によると、この海域では毎年300隻以上の中国漁船が韓国側に拿捕(だほ)されている。08年には韓国海洋警察官1人が死亡、6人が負傷する事件も発生している。

 【ことば】中韓の排他的経済水域(EEZ)

 94年発効の国連海洋法条約は、自国沿岸から最大200カイリ(約370キロ)までの水域を定め、水産・鉱物資源の探査や開発の主権的権利を有すると規定している。だがEEZが重なり合う場合の境界画定は、当事国間で合意するよう求めた。黄海の場合、韓国は互いの沿岸からの「中間線」での画定を主張。中国は異議を唱えており、両国間に合意はない。

毎日新聞 2010年12月18日 21時41分(最終更新 12月18日 22時55分)