朝鮮戦争の休戦協定締結直後の1953年8月、同協定で南北間の海上境界線が定められなかったため在韓国連軍が黄海上に独自に設定した。99年6月、NLLを越えて侵入した北朝鮮警備艇と韓国軍艦艇の間で銃撃戦が起き、北朝鮮側30人以上が死亡。北朝鮮は同年9月、NLLは無効だとしNLL南方に「海上軍事境界線」を一方的に宣言した。2002年6月にも南北の警備艇間で銃撃戦が起き、韓国兵5人が死亡、18人が負傷。北朝鮮側は13人が死亡したと推定されている。
(2009年11月11日掲載)
北方限界線【ほっぽうげんかいせん】
朝鮮半島を南北に分断する軍事境界線が、西の黄海上に延びるところに設定された「海上の事実上の軍事境界線」。朝鮮戦争休戦後の1953年、国連軍が大延坪(テヨンピョン)島などの北に設けた。毎年6月ごろ、付近はワタリガニの好漁場になるため、北朝鮮の漁船が越えて来て、漁船警護の北朝鮮艦艇と、NLL警備の韓国艦艇とがしばしば衝突する。99年6月に起こった銃撃戦の3カ月後、北朝鮮はNLLの無効を宣言、NLL南方に独自のライン設定を主張した。2007年10月の第2回南北(朝鮮)首脳会談で、NLLの南側にはみ出す形で「平和水域」を設定する考えに合意したが、実現は容易ではない。
( 朝日新聞記者 )
出典:(株)朝日新聞出版発行「知恵蔵2008」