2010年11月27日 読売新聞
中国、米韓軍事演習に反対…米空母接近を警戒
【北京=大木聖馬、ソウル=前田泰広】中国外務省の洪磊(こうらい)・副報道局長は26日、北朝鮮による韓国・延坪島(ヨンピョンド)砲撃を受け、米韓両国が28日から黄海で米原子力空母「ジョージ・ワシントン」も参加しての合同軍事演習を行うことについて、反対する談話を発表した。
洪氏は「中国の排他的経済水域(EEZ)で、いかなる国も(中国の)許可なしに軍事行動をとることに反対する」と表明し、「(演習に反対する)中国の立場は一貫している」と強調した。
中国側は米韓の演習予定海域が中国が主張するEEZ内に含まれるととらえているとみられる。中国は黄海を広範囲にわたって自国のEEZと主張するが、具体的海域は明示していない。
これに関連し、中国の楊潔チ(ようけつち)外相は26日、クリントン米国務長官、金星煥(キムソンファン)・韓国外交通商相と相次いで電話で協議し、北朝鮮の池在竜・駐中国大使と会談した。砲撃事件後、中国政府高官と北朝鮮当局者の直接会談が伝えられたのは初めて。
中国外務省によると、楊外相は一連の会談で「事態の発展への深い憂慮」を表明し、「各国が責任ある態度で積極的に対話を促し、共に朝鮮半島の平和と安定を維持すべきだ」と訴えた。米韓が北朝鮮の新たな挑発阻止のために行う軍事演習について、北朝鮮を刺激し、緊迫化につながりかねないとの認識を示したものだ。
米韓演習には、米軍から米海軍横須賀基地に配備されている空母「ジョージ・ワシントン」、イージス巡洋艦「カウペンス」、イージス駆逐艦「ステザム」などが参加する。米韓は3月の韓国海軍哨戒艦沈没事件を受け、7月に日本海で合同演習を行い、「ジョージ・ワシントン」も参加した。しかし、9月に黄海で行った米韓演習では「ジョージ・ワシントン」は参加せず、中国側の反発に配慮したとみられていた。中国としては自国の「のど元」といえる黄海に米空母が入れば、北京の防衛体制が脅かされるとの危機感がある。
(2010年11月27日03時06分 読売新聞)