2011年6月20日22時19分
フランス政府が、静岡の茶から欧州連合(EU)の基準の2倍にあたる1キロ当たり1038ベクレルの放射性セシウムを検出したと発表した問題で、静岡県は20日、輸出時に発行した証明書から、この茶葉は同県御前崎市の茶商工業者が製造した玄米茶だと発表した。ただ、業者は、茶葉の自主検査では基準(1キロ当たり500ベクレル)を下回っていたとしている。
同県経済産業部によると、この商品はフランスへの輸出用で、国内での流通は無いという。重量比で約45%を占める玄米は昨年以前に収穫したもので、残りが今年の一番茶。茶葉は、県内の複数の産地にある自社茶園で栽培したものを交ぜており、県外産はブレンドしていないという。
県は業者に対して、フランスで検査対象となった玄米茶の回収を要請。在庫の玄米茶もサンプル回収し、21日に厚生労働省横浜検疫所で再検査する。調査を進めて茶葉の産地を特定する方針。
フランス政府はEUに対し、静岡県内で生産された全ての食品には放射線量が基準値以下であることを示す証明書の添付を、義務づけるよう要請する。
一方、この業者は朝日新聞の取材に対し、検査結果に疑問を呈した。茶葉の6回の自主検査では、最も高い数値でも1キロ当たり約400ベクレルだったという。業者は「玄米が半分近く交ざっているのに、この検査結果は納得できない。基準を上回ったことは一度もない」と強調した。(後藤遼太、上沢博之)
仏で規制値超えた静岡茶、御前崎の業者輸出
フランスに輸出された静岡県産茶から欧州連合(EU)の規制値(1キロ・グラム当たり500ベクレル)を上回る1038ベクレルの放射性セシウムが検出された問題で、静岡県は20日、問題の茶葉は同県御前崎市の茶業者が県内の複数の産地の一番茶をブレンドして作った玄米茶だったと発表した。
県によると、この業者は震災後計6回、荒茶の自主検査を行ったが、検出されたのは240~400ベクレル程度だったという。玄米茶の約45%を占める玄米は震災前の2009~10年度産で、業者は「なぜこんな数値が出たか納得いかない」と話しているという。
県は20日、業者から在庫を譲り受け、検査のため、厚生労働省横浜検疫所に送った。検査結果は21日にも判明する。
(2011年6月20日23時00分 読売新聞)
2011年6月21日20時20分
仏で基準超は玄米茶でなく緑茶 農水省が静岡県へ訂正
フランスで静岡の茶から欧州連合(EU)の基準を超える放射性物質が検出された問題で、静岡県は21日、基準を超えた茶が「御前崎市の業者が製造した玄米茶」とした前日の発表を訂正し、「同じ業者が製造した緑茶」だったと発表した。農林水産省から同日、誤って情報を伝えたと県に連絡があったという。
同県経済産業部によると、EUの基準(1キロ当たり500ベクレル)の2倍にあたる1038ベクレルの放射性セシウムが検出されたのは、計135キロの緑茶。県内の他の茶商工業者から御前崎市の業者が一番茶の荒茶を購入し、製茶に加工したという。
県は、同じ緑茶の在庫1キロを御前崎市の業者から回収し、22日に厚生労働省横浜検疫所で検査する。当初、基準を超えたとされた玄米茶は同検疫所での検査の結果、製茶で1キロ当たり66ベクレルだった。
県によると、訂正情報は21日昼ごろに農水省から県にメールで伝えられた。誤った理由は触れられていなかったという。(後藤遼太)