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2011/06/21

IAEA閣僚級会合、声明案の要旨

IAEA閣僚声明案要旨
 【ウィーン時事】国際原子力機関(IAEA)閣僚級会合が20日採択する声明案の要旨は次の通り。

 1、IAEAの安全基準に基づく最高水準かつ最も強固な原発安全性の実現の重要性を強調する。

 1、原発安全性の強化に向け、国際的な協力態勢の促進や取り組みの調整におけるIAEAの役割を強化する。

 1、原発事故に際し、時宜にかない、事実に即した客観的な情報と評価の提供という公共の高い期待にIAEAが応える重要性を強調する。

 1、福島第1原発事故の包括的かつ完全に透明な評価を日本とIAEAから受け取る必要性を強調する。

 1、独立した国際専門家が各国の規制の枠組みや緊急対応態勢、原発の運転状況を定期的に評価する有用性を強調する。

 1、原発を運転している国に対し、危険性と安全性の包括的評価を透明性をもって行うよう促す。

 1、各国の原発規制当局の権限や能力を強化し、独立性を確保する。

 1、緊急対応チーム創設や地域的、国際的レベルでの危機管理の訓練を通じた緊急対応態勢の改善の必要性を強調する。

 1、原発事故の影響を受けた国が適切な補償を受けられる国際的な補償体制の必要性を認める。

 1、事務局長に対し、原発の安全性に関する全ての側面を網羅した行動計画案を次回理事会と総会で示すよう求める。

(2011/06/20-14:29)


http://www.jiji.com/jc/zc?k=201106/2011062000410







原発安全策、対立点先送り…IAEA閣僚級会議
【ウィーン=末続哲也】20日開幕した国際原子力機関(IAEA)閣僚級会議では、各国代表から原子力発電の安全強化策を巡る提言が相次いだが、安全基準の見直しやIAEAの権限強化などを巡る意見の隔たりも浮き彫りになっている。

 閣僚宣言にはあいまいな表現が多く残されており、安全強化策の実現に向けた合意形成は難航しそうだ。

 「IAEAの安全基準を包括的に見直す必要がある。原子力安全条約の改正も求める」――。ロシア代表で国営原子力企業ロスアトム社長のセルゲイ・キリエンコ氏が会議で行った提言は歯切れ良いものだった。だが、閣僚宣言は「IAEAの安全基準は可能な限り広範かつ効果的に絶えず見直されるべきだ」とする一方、「可能な限り」の範囲を示さないなど「当たり障りのない文章」(外交筋)という見方が聞かれる。

(2011年6月21日01時11分 読売新聞)








IAEA会議 閣僚宣言を採択
6月21日 6時45分
東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、世界の原子力安全の強化について話し合うIAEA=国際原子力機関の閣僚会議が20日から始まり、緊急事態に対応するための国際協力の枠組みの確立などを盛り込んだ閣僚宣言が満場一致で採択されました。しかし、原発を推進しようという新興国の中には、安全基準の強化に消極的な姿勢を示す国もあり、どこまで実効性のある対策を打ち出せるかが今後の焦点です。

オーストリアのウィーンで20日から始まったIAEAの閣僚会議には、過去最大規模の900人余りが出席し、初日は全体会議と福島第一原発の事故を検証する作業部会が開かれました。

会議では、IAEAの調査団や、日本政府がまとめた事故の報告書が説明され、緊急事態に対応するための国際協力の枠組みの確立や、IAEAが主導して各国の原発を定期的に安全評価することなどIAEAの機能強化を盛り込んだ閣僚宣言が満場一致で採択されました。

一方、天野事務局長は、冒頭の演説で、日本が4年前に受けた安全評価で規制当局である原子力安全・保安院について、将来的に、はっきりと独立性を持たせるべきだと指摘したにもかかわらず、改善がないまま今回の事故に至ったなどとして、来年までに改めて安全評価を受けるよう促しました。これに対し、海江田経済産業大臣は「IAEAの安全評価を拡充したい」と述べ、できるだけ早い時期に安全評価を受け入れる考えを示しました。

今回は、福島第一原発の事故のあと各国の関係閣僚らが一堂に集まって初めて開かれる会議で、事故の教訓を世界の原子力安全の強化につなげるのことが最大の目的です。しかし、原発の安全性の向上という総論には賛成しても、今後、原発を積極的に導入しようという新興国の中には、コストが増えることへの懸念などから、安全基準の強化には消極的な姿勢を示す国もあります。各国の思惑が複雑に絡み合うなか、24日までの会議でどこまで実効性のある対策を打ち出せるかが今後の焦点です。