電気事業連合会が13日発表した電力10社の5月の発受電電力量(速報)によると、5月の原子力発電所の稼働率を示す原子力設備利用率(日本原子力発電含む)は40・9%と落ち込んだ。
スリーマイル島(米ペンシルベニア州)での原発事故を踏まえ、国内で原発が安全点検のため一時停止した1979年5月(34・2%)以来の低水準となった。菅首相の要請で、中部電力が浜岡原発の4、5号機を停止したほか、各地で、停止中の原発の再稼働が延期されていることが要因だ。
(2011年6月13日14時58分 読売新聞)
5月の原発稼働率、32年ぶり低水準 比率約2割に低下
2011/6/13 22:59
電気事業連合会が13日まとめた5月の原子力発電所の稼働率は40.9%となり、1979年5月(34.2%)以来の低い水準となった。2010年度の全国の9電力会社の全発受電電力量に占める原発の比率は27.5%だが、11年5月は21.3%に低下した。
全国には54基(4884万キロワット)の原発があるが、福島原発などが東日本大震災で停止したうえに、他の原発も定期検査後の再稼働が進んでいない。5月には中部電力の浜岡原子力発電所(静岡県)の2基や、関西電力の美浜発電所(福井県)の1基など合計5基が止まった。
5月の原発の稼働率は4月の50.9%に比べて10ポイント低下。全発受電電力量に占める原発比率も3.4ポイント下がった。現在は35基の原発が停止中だ。
原発の稼働率は通常6~8割程度で、10年度平均は67.3%。日本の全発電電力量のうち原発は29.3%(09年度)を担っている。
電力会社は原発に代わり、火力発電設備の稼働率を引き上げている。ただ火力発電ですべてを代替するのは難しく、原発の再稼働ができなければ、電力不足の長期化は避けられない見通しだ。
5月発受電、3カ月連続減 8社が前年実績下回る
2011/06/14
電気事業連合会が13日発表した10社計の5月発受電電力量(速報)は前年同月比4.7%減で、3カ月連続のマイナスとなった。企業活動の停滞や節電の広がりが響いた。電源別では、福島第一原子力発電所の事故の影響で原子力の発受電電力量が同31.5%減と大幅に落ち込み、火力が伸びた。5月の下げ幅としてはリーマン・ショック後の09年の8.4%に次ぎ、過去2番目。電気新聞調べによる各社別の動向では、四国、九州を除く8社で前年実績を下回った。
原子力は5月末時点で全国の54基中、発電中のプラントが19基にとどまる。日本原子力発電を含む設備利用率は過去10年で最低の40.9%。不祥事で東京電力の原子力がほぼ全面停止していた03年5月の43.7%を下回った。
過去30年での最低は79年5月の34.2%だが、当時は20基しかプラントがなかった。
現在、福島県内の原子力10基が全基停止。定期検査中のプラントも、自治体が再稼働に慎重姿勢を示していることから立ち上がってこない。5月に入ってから、政府の停止要請を受けた浜岡4、5号機に加え、定期検査などで3基が運転を止めている。5月の設備利用率は東京が29.0%、東北が0%。
5月の10社計発受電電力量は、689億8千万キロワット時。電源別では、水力が同0.2%減の70億7千万キロワット時。沖縄を除く9社計の出水率が110.4%となり、前年同月から4.1ポイントの増加。
原子力は同31.5%減の147億キロワット時。原電を除く設備利用率が同19.8ポイント減の42.6%と大幅に減った。
水力と原子力の減少に伴い、火力は同18.6%増の374億9千万キロワット時。火力の増加により、原油や重油など化石燃料の消費量が伸びた。新エネルギー等は同9.5%減、揚水動力は同14.4%減。
電事連が13日発表した燃料実績のうち、受け入れは、石炭が314万1千トン、重油が52万キロリットル、原油が50万4千キロリットル、液化天然ガス(LNG)が、369万7千トンだった。
一方、消費は石炭が320万3千トン、重油が40万5千キロリットル、原油が48万1千キロリットル、LNGが360万9千トン。 (本紙3面より)