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2013/09/17

潘基文国連事務総長 「シリアで化学兵器が使用されたことを明確かつ客観的に確認した」

シリアで使われたサリンは高品質 米英仏、政権使用と指摘

2013年9月17日 09時57分

 【ニューヨーク共同】国連安全保障理事会は16日、シリア問題について協議、化学兵器使用疑惑に関する国連調査団のセルストローム団長と潘基文事務総長が調査結果を報告し、使われたサリンはイラン・イラク戦争や東京の地下鉄サリン事件で用いられたものより高品質だったと明らかにした。

 米国、英国、フランスの国連大使らはこれらの内容から「実行者は政権側」と非難したが、ロシアは「性急に結論を出す必要はない」と反論した。
 潘事務総長は「これは戦争犯罪だ。国際社会は実行者の責任を追及する責任がある」と強調した。

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2013091701001230.html








潘事務総長“サリン使用”断定の報告書公表

< 2013年9月17日 10:04 >
 国連の潘基文事務総長は16日、シリアで化学兵器のサリンが使用されたと断定する国連調査団の報告書を公表した。

 国連調査団による報告書は16日、潘基文事務総長から安保理メンバー国に報告された。報告書では、証言により、体に傷のない大勢の人が通りで死亡していたことを記している。その上で、「神経ガスのサリンを搭載した地対地ロケットが使用されたとの、明確で確固たる証拠がある」として、複数の写真を掲載している。しかし、使用したのがアサド政権側か、反政府勢力側かは明言しなかった。

 化学兵器の使用を国連が確認したことで、安保理での決議採択など、化学兵器廃棄に向けた動きが加速するとみられる。






シリア国連報告書、サリン使用を断定

2013.09.17 Tue posted at 11:37 JST


(CNN) 国連の潘基文(パンギムン)事務総長は16日、シリアの首都ダマスカス郊外で先月化学兵器が使用された疑いを巡る国連調査団の報告書を公表した。報告書では神経ガスのサリンが使われたと断定されたが、アサド政権と反体制派のどちらが使ったかについては見解が示されていない。

38ページにわたる報告書によれば、ダマスカス郊外グータにサリンを搭載した地対地ミサイルが撃ち込まれたことを示す明確な証拠が採取された。

調査団は現場の生存者や救急隊員からの聴き取り、髪や尿、血液、土壌などの試料採取など、大規模な調査を実施していた。

国連の潘基文(パンギムン)事務総長は同日、国連安全保障理事会に結果を報告。シリアで化学兵器が使われたことに「疑念の余地はない」と述べた。また一般市民に対する化学兵器の使用としては、イラクの旧フセイン政権が東部ハラブジャでクルド人を虐殺した1988年以来の規模だったと強調。生物化学兵器の使用禁止を定めた25年のジュネーブ議定書などの国際法に反する「戦争犯罪だ」と非難した。

報告書によると、現場では攻撃前後に気温が下がった影響で空気が上から下へ流れ、ガスが市民の避難する建物の1階や地下室へ入り込んだために被害が拡大した。

ただ、調査団の任務に化学兵器使用の責任者を追及することは含まれていない。潘事務総長は、どちらの仕業だったかについて見解を述べなかった。

一方、国連安全保障理事会の議長国オーストラリアのクインラン国連大使は、報告書によって「政権側が化学兵器を使ったことが確認された」と主張。米国のパワー国連大使も、報告書は政権側による使用を示すものだと述べた。パワー大使は「アサド政権はサリンを保有しているが、反体制派が持っているとの証拠はない」「政権側の支配地域に入り込み、そこから反体制派の地域を攻撃するという行動を、反体制派が取るとは思えない」と述べた。

これに対してロシアのチュルキン国連大使は、反体制派の仕業だった可能性は否定できないと反論。反体制派が当時、ただちに被害を報告しなかったのはなぜかと問い掛けた。
http://www.cnn.co.jp/world/35037285.html

http://www.cnn.co.jp/world/35037285-2.html



外相「シリアの対応を注視」

9月17日 14時13分

岸田外務大臣は、閣議のあとの記者会見で、シリアで化学兵器が使われたとする国連の調査団の報告書が示されたことを受けて、化学兵器の使用を改めて強く非難するとともに、シリア政府の今後の対応を注視していきたいという考えを示しました。

この中で岸田外務大臣は、アメリカのケリー国務長官とロシアのラブロフ外相が、シリアのすべての化学兵器の廃棄を目指す枠組みで合意したことについて、「合意を歓迎したい。シリア政府に対しては、合意に基づく真摯(しんし)な対応を求め、今後の行動を注視していきたい」と述べました。
また岸田大臣は、シリアで化学兵器が使われたとする国連の調査団の報告書が示されたことについて、「化学兵器が使用されたことを改めて強く非難する」と述べました。

そのうえで岸田大臣は、報告書は、誰が化学兵器を使用したのか特定していないものの、フランスなどが、ロケットの軌道などから、アサド政権側が使用したのは確実だとしていることを踏まえ、政府として、報告書の内容を詳しく検討する考えを示しました。




国連調査報告「シリアでサリン使用」、米など断固たる決議要求

2013年 09月 17日 07:25 JST

[国連 16日 ロイター] - 国連は16日、シリアの化学兵器使用に関する調査報告書を公表し、8月21日にダマスカス近郊で起きた攻撃で神経ガスのサリンが使用されたと断定した。

化学兵器を使用したのがアサド政権か反体制派かについては言及していない。

米英仏の3カ国は同日、化学兵器廃棄に向け明確かつ拘束力のある期日を定めた「強力で断固とした」国連決議を求めることで合意した。

米国とロシアは14日、シリアの化学兵器を2014年半ばまでに廃棄させる枠組みで合意。米国によるシリア攻撃の可能性はひとまず後退したが、オバマ米大統領は、化学兵器の処理が進まない場合、軍事行動の可能性も残されているとしている。

ロシアはシリアに対し厳しい制裁措置を科すことに慎重な姿勢を崩しておらず、両国は反体制派が化学兵器を使用としたと主張している。

シリア国内では、複数の地域で戦闘が起きたと報じられている。トルコは、シリアのヘリコプターがトルコ領空を侵犯したとして、トルコ軍機が同ヘリコプターを撃墜したことを明らかにした。

<国連報告書>

潘基文(バン・キムン)国連事務総長は安保理加盟国に対し「国連調査団は、シリアで化学兵器が使用されたことを明確かつ客観的に確認した」と表明。

シリアが米ロ合意を確実に実行・順守するための方法を検討するよう安保理に求め、「シリアが(合意を)順守しなければ責任を追及すべきという考えに同意する。化学兵器はどこで誰が使用しようと、いかなる場合も犯罪に当たる」と述べた。

報告書は「(首都ダマスカス近郊の)グータで起こった事件に関する調査で得た証拠から、シリアの衝突で子供を含む市民に対し、比較的大規模に化学兵器が使用されたと結論付けた」と指摘。

具体的には「収集した環境的、化学的、医学的サンプルは、神経ガスのサリンを搭載した地対地ロケットが使用されたとの明確かつ確固たる証拠を示している」とした。

また、8月21日は午前2時から午前5時にかけて気温が低下し、このため大気が地面に向けて下向きに流れていたと指摘、多くの市民の避難先となっていた建物の低層階にガスがとどまり、被害者の数が膨らんだと分析した。

潘事務総長は安保理に対し、調査団が採取した血液サンプルの85%からサリンの陽性反応が出たほか、生物医学的サンプルのほぼすべてでサリンの痕跡を検出したと説明した。

<米英仏、「攻撃はアサド政権側によるもの」>

国連調査団の任務は事実調査に限定されており、化学兵器攻撃を行ったのがアサド政権側か反対派かを示唆する情報が報告書の詳細に含まれているかどうかは現時点で不明だ。

ただ、米英両国の国連大使は16日、シリアの化学兵器使用に関する国連調査報告書について、神経ガスのサリンを使った8月21日の攻撃が反体制派ではなくアサド政権側によるものだったことを確認する情報が含まれているとの見方を示した。

フランスのファビウス外相も、アサド政権による化学兵器使用に疑いの余地がないことを国連報告書は示していると述べた。

英国のグラント国連大使は記者団に対し、攻撃の責任が政権側にあることに疑いの余地は残っていないと発言。米国のパワー国連大使も同様の見解を示した。

また一部の西側外交筋はこれまでに、兵器の種類など調査団が入手しているかもしれない情報の詳細には、政府に攻撃の責任があることを示すものが含まれる可能性があると述べている。

ロシアの国連大使は、サリン攻撃を行ったのが政権側だという科学的な証拠はないと主張。シリアの国連大使のコメントはとれていない。

<米国務長官、「順守しない場合は報いを受ける」>

ケリー米国務長官は16日、シリアが化学兵器の引き渡しに関する国連決議を完全に順守しない場合、同国はその責任を取る必要があるとの見解で米英仏、ロシアは一致していると明らかにした。

長官は、英仏外相との共同記者会見で「(シリアの)アサド大統領が期限までに国連決議の枠組みに従わない場合、同国は間違いなく報いを受けるという考えで誰もが一致している。これにはロシアも含まれる」と述べた。

一方、 ロシアのラブロフ外相は同日、シリアの反体制派に和平協議への参加を単に促すのではなく、参加を強いる措置を検討すべき時が来ている可能性があるとの見解を示した。

また、シリアの化学兵器廃棄と米国による軍事行動回避に関し米ロが週末に合意した内容を欧州諸国は解釈し直そうとしているとして非難した。

外相の発言は、シリアのアサド政権が合意内容を実行しなかった場合の武力行使を警告する西側諸国の動きをけん制するとともに、米ロ合意がシリア内戦の終結に向けたより幅広い取り組みにつながらなかった場合、反体制派と西側諸国を非難する構えであることを示唆している。

また、国連憲章7章に基づき米ロ合意を支持する安保理決議を早急に採択するよう求めた欧州の要請について、合意内容を「理解していない」と批判した。同7章では武力行使を決議に盛り込むことも可能となる。

外相は「(欧州諸国は)またしてもわれわれが米国と合意した内容を一方的に見直そうとしている」とし、「欧州からのこうした発言にかかわらず、米国が合意を厳格に守ることを確信している」と述べた。

ラブロフ外相は、米国との合意によると国連憲章7章に基づく武力行使などの措置を盛り込むことができるのはシリアの化学兵器使用やその他の合意違反があった場合に採択し得る第2段階の安保理決議であり、米ロ合意を支持する第1段階の安保理決議に盛り込むことはできないと強調。

シリアが化学兵器廃棄に向けた合意に違反した場合は「米国側と合意したとおり国連安保理が7章に基づく決議を採択することが可能となる」とした一方、決議に武力行使が含まれない可能性もあると強調し、「(決議が)どのような内容になるかは誰にも分からない」と述べた。

http://jp.reuters.com/article/jpUSpolitics/idJPTJE98F02J20130916



ロシアはシリアから化学兵器を奪い取れるか

What About Russia's Chemical Weapons?
アメリカの対シリア攻撃を、ロシアがシリアに化学兵器を廃棄させて回避するというが
2013年9月10日(火)15時46分
ジョシュア・キーティング

 化学兵器を使用したとされるシリアのアサド政権に対して、アメリカが武力行使に踏み切るかどうか。緊張が高まるなか、ロシアが仲介役として存在感を高めている。アメリカの攻撃を回避するため、すべての化学兵器を国際監視の下に引き渡して廃棄するよう、アサド政権に働きかけているのだ。

 もっとも、そのロシアも、自国内の化学兵器の管理状況はお粗末なものだ。ロシアはかつて、少なくとも4万トンの化学兵器を保有していたが、開発や生産を包括的に禁じた化学兵器禁止条約を97年に批准し、廃棄処分を進めてきた。ロシア政府は当初、07年までにすべての廃棄を完了するとしていたが、01年の時点で12年に延期。しかし、12年までに廃棄された化学兵器はわずか62%だった。

 当局は、期限を15年に再度延期したが、今ではそれすら実現が危ぶまれている。ロシアメディアは今年4月、廃棄の完了は2020年になるだろうと報じた。

 その影響はシリアにも及んでいるかもしれない。アメリカのヘーゲル国防長官は先週、アサド政権が使った化学兵器の一部はロシアから流出した可能性があると語った。シリアが保有する化学兵器は、かつてのロシアほど大量ではないだろうが、シリア国内に広く分散しており、数週間以内にすべてを回収して廃棄処分にするのは不可能とみられる。

 もっとも、化学兵器の廃棄が進まないのはロシアだけではない。アメリカもたびたび廃棄期限を延長しており、いまだに完了していない。

© 2013, Slate

http://www.newsweekjapan.jp/stories/world/2013/09/post-3040.php