ページ

2013/07/06

エジプト モルシ前大統領支持派と反対派が衝突

エジプト衝突、死者20人超 同胞団は徹底抗戦へ 

2013/7/6 10:30 (2013/7/6 13:14更新)



 【カイロ=押野真也】軍によるクーデターが起きたエジプトで、モルシ前大統領の解任を支持する勢力と反対するグループが5日夜に衝突した。モルシ派と軍との銃撃戦も発生。欧米メディアによると衝突や銃撃戦による死者は全土で20人を超えた。米国は暴力停止を求めたが、モルシ氏の出身母体であるイスラム原理主義組織は徹底抗戦の構えだ。

 首都カイロ郊外のナセルシティーではモルシ氏を支持する数万人が軍施設前に集結した。拘束されたモルシ氏がこの施設にいるとの情報を受けて数人が突入を図り、軍との銃撃戦で3人が死亡したという。AP通信によると、北部アレクサンドリアで少なくとも12人が死亡。モルシ氏を批判した人が刺されたり、建物の屋根から突き落とされたりした。両勢力合わせて数万人の市民が集まったカイロで死者が出たとの情報もある。

 ナセルシティーのデモでは、当局に一時拘束されたムスリム同胞団最高指導者バディア氏が姿を現し「軍による統治は許さない」と演説。モルシ氏を「大統領宮殿に戻す」と決意を示した。

 米国務省のサキ報道官は衝突拡大を非難し、軍とすべての勢力の指導者に暴力阻止に動くよう求めるとの声明を発表した。エジプト軍には「国民の集会の権利を守るよう期待する」と指摘。反政府デモには「平和的な抗議活動」を要請した。






2013年 7月 06日 11:30 JST

エジプト軍、タハリール広場近くに兵力動員―衝突で死者17人超

By MATT BRADLEY, CHARLES LEVINSON, TAMER EL-GHOBASHY AND REEM ABDELLATIF

 【カイロ】エジプトの国営放送によると、軍は5日、解任されたモルシ前大統領の支持派と前大統領に反対する勢力の対立が衝突に発展したことを受けて、治安回復のために介入に乗り出した。

 国営テレビでは、複数の装甲兵員輸送車がタハリール広場に近い10月6日橋に到着した映像が放送された。この少し前には、この橋の上でモルシ前大統領の支持派と反対派が衝突、石の投げ合いや花火の打ち上げがあった。数人の目撃者によると、自動小銃による発砲もあったという。広場では反対派がモルシ氏の失脚を祝っており、モルシ氏支持派は橋を通って反対派に迫ろうとしていた。

 モルシ氏支持派はこの日、「拒絶の金曜日」と名付けた全国的なデモを行い、モルシ氏が軟禁されている宿泊施設の前で警官隊とも衝突している。モルシ氏の出身母体であるイスラム原理主義組織「ムスリム同胞団」の幹部は警官隊との衝突で5人が死亡したと発表したが、警察はこれを否定した。

 関係者によると、5日の衝突による死者数はエジプト全土で17人以上となった。

 エジプトでは3日、モルシ大統領の辞任を求める数百万人規模の抗議デモが続いたことを受けて軍がモルシ大統領を解任、大統領はこの動きに抵抗すると表明した。大統領の解任以降、衝突で死者が出たのは初めてで、政治の混乱が流血の争いに発展する恐れもある。

 10月6日橋の上で事態が緊迫したのは5日夕方。数千人の反対派がモルシ氏の失脚を祝うタハリール広場に、数千人の支持派が向かっていたときだった。数人の目撃者は橋の近くで銃声が聞こえたと述べた。銃声は支持派、反対派の両方から聞こえたという。

 目撃者の1人で、ライブストリーミング・サービス「アナ・ムバシェル」の代表、ハイデル・ガレブ氏によると、反モルシ派の「ブラック・ブロック」と関連のある黒ずくめの服装をした若者が現場に現れ、ムスリム同胞団を押しとどめようと実弾を発砲したという。ブラック・ブロックはムスリム同胞団に対して暴力を行使すると表明している。

 別の目撃者はムスリム同胞団側のデモ隊に向けて複数の人間が機関銃を発射するところを見たと話している。しかし、発射したのが誰かはわからないという。

 複数の目撃者によると、その後、これらの若者は銃弾を使い尽くしたとみられ、反対派、支持派の双方が石や爆竹を投げ合った。テレビでは、橋の上で1台の自動車が炎上する様子が放送された。

 エジプト軍のアメド・アリ報道官は軍が橋の上で衝突しているモルシ氏支持派と反モルシ派を分断するために兵力を動員している最中だと述べた。

 しかし、同報道官はエジプト軍がイスラム主義者を弾圧しているとの見方が広まることを避けるために、兵力の動員に際しては慎重を期していると述べた。


http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323760504578588502665155648.html