ベネズエラ大統領、CIA元職員の亡命受け入れ
2013/7/6 10:58【サンパウロ=宮本英威】米当局に訴追された米中央情報局(CIA)元職員エドワード・スノーデン容疑者を巡り、南米ベネズエラのマドゥロ大統領は5日、「人道的な亡命を受け入れる」と表明した。元職員は国際社会に広く亡命の支援を求めてきたが、受け入れ先探しに難航。ロシアの空港滞在が長引いていた。
渡航に必要な書類の発行など、亡命受け入れに向けた具体的な動きについては述べていない。また、米国による元職員の送還要請を受けて各国が元職員を乗せる航空機の領空通過などを拒絶する可能性もあり、実際に移動できるかは不透明だ。
ベネズエラが元職員の受け入れに動いた背景には、物不足や治安悪化などの国内の課題に直面するなかで、反米姿勢を強調することで国内の求心力を高める狙いがあるとみられる。マドゥロ大統領は「彼は米国がスパイをしているという真実を伝えた」と語り、米国を批判した。
中米ニカラグアのオルテガ大統領も同日、「環境が整えば亡命申請を受け入れる」と表明している。オルテガ氏もマドゥロ氏と同じく反米左派で知られる。
スノーデン元職員は6月23日にロシアに到着してから、入国せずに乗り継ぎエリアに滞在し続けているとみられている。内部告発サイト「ウィキリークス」は5日、新たに6カ国に亡命申請したと発表。その前には既に約20カ国に亡命や亡命支援を求めている。
2013年 7月 06日 13:50 JST
ベネズエラ、スノーデン氏の亡命受け入れを表明―ニカラグアも
By KEJAL VYAS AND JOSÉ DE CÓRDOBA
ベネズエラのニコラス・マドゥロ大統領は5日、米国家安全保障局(NSA)の監視プログラムを暴露したエドワード・スノーデン氏に対して「人道的な理由による亡命」を認めると表明した。スノーデン氏は亡命先が決まらず、現在もモスクワの空港にとどまっているが、マドゥロ大統領は亡命を実現させる方法については明らかにしなかった。
ニカラグアのダニエル・オルテガ大統領も人道的理由による亡命に門戸を開いている国として、スノーデン氏の亡命を受け入れる用意があると述べた。
しかし、スノーデン氏がベネズエラかニカラグアのいずれかに入国する方法は明らかになっていない。エクアドルは先週、スノーデン氏がエクアドル領内に入れば亡命を受け入れる意向を示しているが、エクアドルに向かう全てのルートを分析したところ、乗り継ぎ便が米国と犯罪者引渡し協定を締結している国を通過することがわかった。
ベネズエラのマドゥロ大統領は同国の独立記念日を祝う祝賀行事で「ベネズエラ・ボリバル共和国の元首として、米国人エドワード・スノーデンに対して人道的理由からの亡命を認めることを決定した」と述べた。
ベネズエラ外務省は今週初め、米国からスノーデン氏の身柄引き渡しの要請を受けていたが、マドゥロ大統領は4日、これを拒否すると述べた。マドゥロ大統領は社会主義の扇動政治家で今年死去したチャベス大統領の後継者で、自身も左派の指導者である。
ニカラグアのオルテガ大統領の亡命受け入れの提案については、専門家の間では懐疑的な見方が強い。
ジャーナリストで政治アナリストのカルロス・フェルナンド・チャモロ氏は「(オルテガ大統領の声明)は曖昧だ。オルテガ氏は言葉の上では米国を挑発しながら、実際には良好な関係を維持するために全力を挙げている。声明はその姿勢と一致するものだ」と述べた。ニカラグアは中国人実業家の支援を受けて太平洋と大西洋を結ぶ運河の建設を計画している。チャモロ氏によると、ニカラグアはこのプロジェクトに米国のお墨付きを得ようとしており、そんなときにオルテガ氏が米国に反抗するとは考えにくいという。
オルテガ大統領をよく知るニカラグア政府の元高官もチャモロ氏の見方に同意している。元高官は「『こうするように言われたが、私にはそのつもりはない』と米国に伝えるオルテガ氏のやり方だ。私はオルテガ氏を知っているが、彼が革命家としての実績を誇示する方法の1つだ。しかし、結局は何もしない」と述べた。
スノーデン氏は米国の極秘監視プログラムを暴露し、現在、米当局によって指名手配されている。ロシア政府高官は同氏がモスクワのシェレメチェボ国際空港の乗り継ぎエリアにとどまっていることを明らかにしている。
ベネズエラのマドゥロ大統領はこれまでの公式発言の中で、スノーデン氏について、「人道上、保護される」べき勇敢な反逆者であり、米国が国内外で行っているスパイ活動を暴いたとして称賛している。
http://jp.wsj.com/article/SB10001424127887323760504578588700667162978.html