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2011/06/11

総額2500億円の義援金のうち、被災者の手元に届いたのは15% 「発生3カ月は復興に道筋をつける大事な節目。東日本では、どこが仕切っているのか見えない」

義援金、被災者へ届いたのは15% 2次も配分変更なし
2011年6月7日1時15分







 東日本大震災で日本赤十字社(日赤)や中央共同募金会(共募)に寄せられた義援金の配分を決める義援金配分割合決定委員会(堀田力会長)は6日、第2次配分も第1次と同じ配分割合にすることを決めた。支給水準は上がる見込み。一方、第1次分も含めた総額2500億円の義援金のうち、被災者の手元に届いたのは15%にすぎない実態も明らかになった。

 決定委には日赤と共募、被災した15都道県の代表者が参加した。厚生労働省の報告によると、3日までに集まった義援金は総額2514億円。このうち支給対象が決まり、すでに都道県に送られた823億円を第1次分とし、残る1691億円の第2次分の取り扱いを議論した。

 自治体による被害の確認作業が進まず、これまでに被災者に支給されたのは370億円。そこで支給額を一律にする案も検討されたが、結局、住宅が半壊した世帯への支給額を全壊世帯の半分程度にするなど、第1次分と同じ配分割合に決めた。一律支給で換算すると1事案あたり46万~53万円で、第1次より多くなる見通しだ。また、福島第一原発から半径30キロ圏より外の住民でも、計画的避難区域に住宅があれば義援金を配る方針も確認された。




東日本大震災:「阪神」より復興遅れ
 東日本大震災は、95年の阪神大震災(死者6434人)と比較すると復興の遅れが際立つ。被害地域が広範に及んだうえ、被災自治体の規模が小さいことなども背景にある。

 東日本の被災地では5万2515戸の仮設住宅が必要だが、10日までに完成したのは54%の2万8280戸。阪神では3カ月後に約3万8000戸の建設を終えた。民有地の提供を受け、輸入住宅も活用した。

 岩手、宮城、福島3県沿岸部のがれきは2382万トンで、仮置き場への搬入は3日までで18%の438万トンにとどまる。阪神では3カ月後、全体の3分の1に当たる倒壊家屋3万5000棟の解体・撤去が進んでいた。

 日本赤十字社などに寄せられた東日本の義援金は3日現在で約2514億円だが、被災者に届いたのは15%の約370億円。阪神では1785億円の義援金が集まり、発生12日後に遺族や自宅全半壊を対象に1人10万円の第1次配分を決め、約3カ月後には重傷者や震災遺児らを対象に2次配分を決定した。

 両震災とも発生約1カ月後、復興に向け首相の諮問機関が設置された。阪神・淡路復興委員会は95年10月まで16回の会合を開き、首相に意見を3回、提言を11回答申した。東日本の復興構想会議はこれまで8回の会合が開かれ、今月中に第1次提言を示す予定だ。

 阪神の被災地は自治体規模が大きい都市部に集中し、地元主導で復興計画が進んだ。だが、東日本の被災地は小規模な自治体が多い。岩手県大槌町は24%、陸前高田市も23%の職員が死亡・行方不明となるなど、役所・役場機能に支障を来すところも目立つ。

 東日本ではこれまでに13の関係法が成立し、6法案が審議中だ。阪神は16の法律が制定されたが、いずれも発生から2カ月余の間に成立している。

 前兵庫県副知事の斎藤富雄・神戸学院大客員教授は「発生3カ月は復興に道筋をつける大事な節目。東日本では、どこが仕切っているのか見えない」と指摘した。【北村和巳、錦織祐一】

毎日新聞 2011年6月11日 東京朝刊