ページ

2011/06/11

国の避難対象地域圏外の「ホットスポット」を調査

日本政府、福島県内4カ所を「ホットスポット」に指定
2011.06.11 Sat posted at: 09:11 JST
東京(CNN) 福島第一原子力発電所の事故による放射線量が高い「ホットスポット」のリストに新たに福島県内の4カ所が追加された。日本政府当局が10日、明らかにした。

4カ所のうち3カ所は福島県伊達市霊山町内にあり、日本政府のデータではこの3カ所の年間累積放射線量は推定で年間20.1~20.8ミリシーベルトだという(先進国に住む一般人の年間被ばく線量は約3ミリシーベルト)。霊山町は、福島第一原発から50キロ離れており、約180世帯が暮らしている。

残りの1カ所は福島県南相馬市原町内にある。南相馬市は福島第一原発から33キロ離れており、政府が定めた半径30キロ以内という避難対象地域の圏外にある。







制限区域外の「放射線ホットスポット」650カ所調査 福島
2011/6/11 10:54
 福島第1原子力発電所の事故で、国の立ち入り制限区域外の福島県伊達市で、制限区域の目安とされる年間の積算放射線量の推計値を超える数値が計測された「ホットスポット」があることを受け、国と県は11日、同市の個人の宅地や道路で放射線量のモニタリング調査を始めた。県災害対策本部によると、国や県が個人の宅地で放射線量を測定するのは初めて。

 調査は11、12日の両日、伊達市の石田地区など3地区の宅地や道路など計約650カ所で実施。個人宅については事前に住民の了解を得る。

 調査結果によって、国などは避難の必要性を検討するほか、汚染低減の対策を進めるという。

 11日午前には県から調査を委託された電気事業連合会の調査員3人が同市小国地区の農家、佐藤好孝さん(73)の自宅を訪問。庭と玄関先の2カ所で測定器を手に次々に数値を読み上げた。

 調査後、暫定の放射線量が書かれた紙を受け取った佐藤さんは「今までも地域別の数値は出ていたが、自宅周辺は実際どの程度か分からず不安だった。予想よりも値が低くひとまず安心」と胸をなでおろした。

 伊達市は計画的避難区域に指定された同県飯舘村に隣接。国の避難指示は出ていないが、年間の積算放射線量の推計値が20ミリシーベルトを超える数値が局地的に計測されている。






首都圏でも年1ミリシーベルト超え地点 「放射線ホットスポット」に注意せよ
2011/6/11 10:02
局地的に高い線量になる「放射線ホットスポット」が、自治体などの調査で次々に明らかになっている。福島市内のオフィス街では、1日で以前の許容量の年1ミリシーベルトを超える線量が計測された道路沿いの側溝もあったというのだ。

ネット上で、ホットスポットという言葉に関心が集まっている。


専門家が「柏、松戸、流山、三郷」と指摘して騒ぎに

どこから生まれたかはよく分からないが、周辺に比べて異常に高い放射線量を計測する地点と言った意味らしく、一部専門家がこの言葉を使い始めてから広まったようだ。チェルノブイリ事故でも、発電所からかなり離れた地点で、高い数値を示す地点がポツポツあったという。

元原子力安全委員会専門委員の武田邦彦中部大教授は、ブログで2011年5月10日、「柏、松戸、流山、三郷のホットスポット」と千葉、埼玉両県のケースを取り上げた。原発に詳しい民間有志の調査で、これらのスポットは、以前の基準、年間許容量1ミリシーベルトを超えていたというのだ。もっとも、事故発生後、文科省は暫定的として年間の許容被ばく線量の目安を「20ミリシーベルト」に変更している。

武田氏は、テレビでもお馴染みだけに、「子供を守ってください」と呼びかけると、住民から不安が高まった。千葉県柏市では、主婦ら約200人もが1万人分の署名を集めて、6月2日に市に提出。子どもが関わる全施設の線量測定や除染を要求する事態にまでなった。

こうした動きを受けて、千葉県は、県内6市で5月31日と6月1日に大気中の放射線量について独自調査を行った。その結果によると、柏市では、1時間当たり0.54マイクロシーベルトと最も高い値を示した。年間にすれば、以前の許容量超の2.8ミリシーベルトだ。文科省がさらに南にある千葉県市原市のモニタリングポストで行っている計測では、5月31日は0.044マイクロシーベルト。県の独自調査の方が、10倍以上も高かったわけだ。

その理由としては、原発からの距離といった地域的な違いのほかに、計測地点に置ける高さの違いもあったようだ。文科省が地上から7メートルで測っているのに対し、県では日常生活空間に当たる50センチで測っている。

こうした経緯は、テレ朝系で6月5日に放送された「サンデー・フロントライン」でも紹介された。番組では、専門家の話として、風向きや雨によって放射性物質がホットスポットに集まったのではないかと分析している。


自治体などの独自調査がようやく始まる

 自治体などによる独自調査は、原発事故から3か月近くも経って、首都圏などで行われるようになっている。サンデー・フロントラインの番組調査では、東京23区のうち15区が調査を実施、あるいは実施予定だという。

原発事故が起きた福島県でも、ようやくホットスポットへの対応を始めた。県が2011年6月5日、モニタリングポストを県内各地に増設する方針を明らかにしたほか、文科省も6日、県内や隣接県一部の2500か所を対象に大気や土壌のサンプル採取を始めた。

とはいえ、すでに深刻なホットスポット汚染が明らかになりつつある。

国の原子力安全委員会が5月24、25日に福島市内のオフィス街で地上1メートルの放射線量を測ったところ、高い値を示す地点が見つかった。泥や落ち葉が積もった側溝の上では、1時間当たり3~4マイクロシーベルトになった。

これだけでも、年間にすれば現在の許容量20ミリシーベルト超だが、側溝の泥に測定器を近づけると、約100マイクロシーベルトに達する地点もあったというのだ。年間なら876ミリシーベルトで、1日浴びただけで、2.4ミリシーベルトと以前の許容量を超えてしまうことになる。

福島市では、土壌汚染も深刻なようだ。県原子力センター福島支所が事故直後の3月15日に国道近くの雑草を測ったところ、1キログラム当たりの放射性セシウムが16万9000ベクレルに達した。野菜類や茶葉の規制値500ベクレルをはるかに上回る値だ。

この数値は、ようやく6月3日になって公表された。セシウムは半減期が30年と長いだけに、今後は抜本的な対策が求められそうだ。