2011/5/9 17:59
中部電力は9日、政府による浜岡原子力発電所(静岡県御前崎市)の全面停止要請を受け入れると発表した。運転中の4、5号機は準備が整い次第、すみやかに停止する。定期検査で休止中の3号機は運転再開を見送る。1、2号機は廃炉を前提にすでに営業運転を終えている。水野明久社長は記者会見で「内閣総理大臣の要請は重いと考えている」と話した。
中部電は記者会見に先立ち、同日午後3時半から臨時取締役会を開き、受け入れを決めた。
浜岡原発の全面停止決定=中部電、政府要請受け入れ-東電などへの融通取りやめ
中部電力は9日、臨時取締役会を開き、浜岡原発(静岡県御前崎市)の全面停止を決定した。
東京電力福島第1原発の事故を踏まえ、政府の停止要請を受け入れて安全対策を優先することとした。記者会見で水野明久社長は「菅直人首相の要請は極めて重い。安全を最優先に進めることが長期的にはお客さま、株主の皆さまの利益につながると判断した」と述べた。
浜岡原発は東海地震の想定震源域にあり、地震や津波などで損壊する危険性が以前から指摘されていた。1、2号機は廃炉に向けて既に停止。定期点検中の3号機と、稼働中の4、5号機を合わせた最大出力は約360万キロワットに上り、中部電力全体の供給力の約12%に相当する。
原発の全面停止により夏場に十分な供給力を確保できない恐れがあるため、東京電力や九州電力などへの電力融通を取りやめるとともに、停止中の武豊火力発電所(愛知県武豊町)を再稼働させて対応。水野社長は、融通の取りやめについて関係先と調整し、「おおよそ数日をめど」に4、5号機を停止する考えを示した。
浜岡原発の停止に伴う火力発電への代替が年間約2500億円程度の収支悪化要因となる。水野社長は「赤字になる可能性は否定できない」と語ったが、「現時点では電気料金の値上げは考えていない」と明言した。供給力不足に伴う計画停電の実施も予定していないという。(2011/05/09-22:58)
http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2011050900613
首相要請は命令だと中部電社長…地元市長明かす
浜岡原発が立地する石原茂雄・静岡県御前崎市長は9日夕、中部電力の水野明久社長から午後5時20分に電話があり、「今回の総理大臣からの要請は、命令と同じように非常に重いものであるという判断から、国民が不安に陥っている中、安全最優先で停止を決定した」と告げられたことを明らかにした。
(2011年5月9日18時03分 読売新聞)
中部電力 プレスリリース
中部電力、浜岡原子力発電所の運転停止要請を受け入れ
浜岡原子力発電所の運転停止要請への対応について
平成23年5月6日に、内閣総理大臣が浜岡原子力発電所のすべての号機について運転停止の要請を表明するとともに、当社は、同日、経済産業大臣より要請書を受領いたしました。
原子力は、安全の確保を最優先に、立地地域の皆さまをはじめ広く社会の皆さまの信頼を得て成り立つものであります。当社は、内閣総理大臣からの要請を重く受け止めております。
今回の要請は社会の原子力発電に対する不安の高まりを踏まえたものと捉えており、原子力発電所を保有する事業者として、皆さまの不安に対し真摯に対応し、より信頼を得ていくことが最優先であると考えております。
当社は、要請への対応について検討を重ねてまいりましたが、こうした基本的な考え方に基づき、非常に厳しい状況ではありますが、現在運転中の浜岡原子力発電所4,5号機(4号機:沸騰水型、定格電気出力113.7万キロワット、5号機:改良型沸騰水型、定格電気出力138万キロワット)を停止することを本日、決定いたしました。4,5号機については、準備が整い次第速やかに停止いたします。また、停止中の3号機(沸騰水型、定格電気出力110万キロワット)についても、当面運転再開を見送ることといたしました。
今回の要請の受け入れにより、お客さま、立地地域の皆さま、株主の皆さまをはじめ多くの皆さまに多大な影響を及ぼすことが懸念されます。これらの方々に過度な負担、不利益が生じないよう、経済産業大臣に対し、別紙1のとおり確認をいたしました。
今後は、津波に対する安全性を一層高めるため、防波壁の設置などの対策を速やかに実施するとともに、地域の皆さまを始めとして、広く社会の皆さまにその内容をご説明してまいります。その上で、当社としては、中部地域への電力の安定供給のために早期の運転再開を目指してまいります。
また、浜岡原子力発電所の運転停止により、今後厳しい需給状況となることから、別紙3のとおり電力需給対策本部を設置し、電力の安定供給に向け、あらゆる施策を講じてまいります。
※以下は、添付の関連資料を参照
別紙1 浜岡原子力発電所運転停止要請に係る確認事項
別紙2 2011 年度最大電力需給計画
別紙3 「電力需給対策本部」の概要
以 上
別紙1~3
http://release.nikkei.co.jp/attach_file/0280032_01.pdf
別紙1
浜岡原子力発電所運転停止要請に係る確認事項
公益性の高い事業を営む当社にとって、総理大臣からの今回の要請は事実上国の指示・命令と同義であり、極めて重く受け止めている。今回の要請に基づき、浜岡原子力発電所を全号機運転停止した場合、お客さま、株主、立地地域等関係者に多大な影響を及ぼすことが懸念される。これらの方々に過度な負担、不利益が生じないよう、当社は事業運営全般にわたり最大限努力するが、国としても十分な配慮、支援をお願いしたい。
1 今回の要請書のとおり、平成23年4月20日の当社報告書にある津波に対する防護策及び海水ポンプの予備品の確保と非常用発電機等の設置を完了し、原子力安全・保安院の評価・確認を得たときは、浜岡原子力発電所の全号機の運転が再開できることを確認したい。
また、原子力安全・保安院の評価・確認は、科学的・合理的見地から速やかに実施して頂きたい。
2 浜岡原子力発電所の安全対策は、法令・技術基準等に基づき適切に実施されており、今回の要請の趣旨は、福島第一原子力発電所の重大事故を受け、国民に一層安心頂くためのものであることを十分に周知して頂きたい。
3 全号機運転停止した場合、多大な追加費用負担が発生する。当社は最大限経営効率化に努めるが、今回の要請は、お客さま、株主等に過度な負担を強いることを前提としたものではないと受け止めており、その回避・軽減に向け国として十分な支援をお願いしたい。
4 全号機運転停止した場合、需給バランスは非常に厳しくなる。当社は供給・需要両面において最大限努力していくが、国においても十分な支援をお願いしたい。
5 知事・市長はじめ立地地域への十分な説明、交付金・雇用等地域経済への十分な配慮をお願いしたい。
以 上