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2011/03/29

2号機の核燃料、表面を覆う金属の被覆管が溶け、さらに「ペレット」と呼ばれる中の核燃料そのものも一部が溶けたと考えられる=原子力安全委員会

核燃料自体も一部が溶けたか
3月29日 0時10分



福島第一原子力発電所2号機のタービン建屋で見つかった高濃度の放射性物質を含む水は、溶けた核燃料に接した水が格納容器から流出したものと推定されていますが、国の原子力安全委員会は、2号機の核燃料の状態について、表面を覆う金属の被覆管が溶け、さらに「ペレット」と呼ばれる中の核燃料そのものも一部が溶けたと考えられるという見方を示しました。

福島第一原発では、1号機と3号機のタービン建屋にたまった水から高い濃度の放射性物質が検出されたのに続いて、2号機でも27日、運転中の原子炉の水のおよそ10万倍に当たる放射性物質が検出されました。

これについて原子力安全委員会は、28日夜の記者会見で「2号機では、溶けた核燃料と水が接し、その水が何らかの経路で格納容器から流出してタービン建屋に出てきたとみられる。水は原子炉の中で核燃料に接した可能性が強いと推定される」と説明しました。

そのうえで2号機の核燃料の状況について、表面を覆う金属の被覆管が溶け、さらに「ペレット」と呼ばれる中の核燃料そのものも一部が溶けて水に接したと考えられるという見方を示しました。

核燃料が溶けた原因については、一時的に原子炉の水がなくなり、原子炉が8時間から9時間にわたって空だきの状態となったため、炉内の温度が2500度から2600度の高温となり、溶け出したという可能性を示しています。

一方で、2号機に比べて放射性物質の濃度が低かった1号機と3号機については、格納容器に放出された蒸気が外で冷やされ、水になって流出した可能性や、原子炉から流出した水が使用済み核燃料プールに放水された水で薄められた可能性が考えられると説明しました。














2号機建屋の外から1千ミリシーベルト 圧力容器損傷か
2011年3月28日19時26分
 東日本大震災で被害を受けた福島第一原発で、東電は28日、2号機のタービン建屋から外へつながるトンネルとたて坑にたまった水から、毎時1千ミリシーベルトの放射線が測定されたことを明らかにした。東電はまた、1~3号機の核燃料を入れた鋼鉄製の圧力容器が損傷して容器の外と通じた状態になっている可能性を認めた。圧力容器の損傷部分から放射性物質を含む水が漏れ、高濃度の汚染を広げている可能性がある。

 東電によると、27日午後、タービン建屋から外につながるたて坑と地下トンネルに水がたまっているのを見つけた。2号機の場合、たて坑は深さ15.9メートル、トンネルは長さ76メートル。たて坑の出口から1メートルのところまで汚染水が上がってきており、水の表面の放射線量は毎時1千ミリシーベルトを超えた。

 たて坑の出口から海までは約55メートル。海にもれた跡は確認できないという。トンネルには継ぎ目があり、防水加工は完全ではないという。2号機では、タービン建屋内でも、高い濃度の汚染水が見つかっている。東電は建屋の汚染水とトンネルの間で水が行き来しているとみている。

 こうした汚染水ははどこから漏れているのか。有力視されているのが、燃料棒が収められている原子炉の圧力容器だ。

 1~3号機は津波で非常用の電源が失われ、圧力容器内の水を循環させて冷やすシステムを動かせなくなった。このため圧力容器につながる配管にポンプを接続し、水を注入する作業が続いている。核燃料を水没させ、発電停止後も出続ける崩壊熱を直接、冷やすのが狙いだ。

 しかし1~3号機いずれでも、圧力容器の水位計の数値は思うように上がっていない。東電は28日未明の会見で、注水しても圧力容器が満杯にならない原因を、「(圧力容器の)下の方に穴が開いているイメージだ」と認めた。穴が開いた理由は「わからない」という。

 圧力容器は燃料ペレット、燃料被覆管、格納容器、原子炉建屋と合わせた5重の放射能閉じ込め機能の中で、最も重要な位置づけだ。福島第一原発の圧力容器は厚さ16センチの鋼鉄でできており、底部には、計測装置などを外部から差し込む貫通部などがある。その周辺から漏れている可能性が考えられる。

 東電は、水面から露出した核燃料が過熱して損傷した可能性を認めている。専門家によると、核燃料を束ねた燃料棒が損傷して崩れ、圧力容器下部に落下してかたまりになると、表面積が小さくなって効率よく水で冷やせなくなる。極めて高温になった燃料が圧力容器の壁を溶かして穴を開けた可能性もある。

 この状態で注水を続けた場合、放射能を高濃度に含む水の外部流出が長引く可能性があるが、東電は、核燃料を冷やすには注水しかないとの立場だ。

 一方、原子力安全委員会(班目春樹委員長)は28日午前、臨時会を開き、2号機のタービン建屋地下1階にたまっている通常の10万倍の濃度の放射能を含む水について、一時溶融した燃料と接触した格納容器内の水が、何らかの経路で直接流入したと推定されると発表した。

 ただ、屋外では極端に高い量の放射線は計測されていないとし、今後も水の漏出が続くとしても、炉心に注水し、蒸気を放出して冷却するという現在の冷却方法は継続可能と結論づけた。