中国機緊急発進、政府高官「宣伝合戦では」
中国の防空識別圏をめぐる問題で、中国国防省は29日、防空識別圏内に日本とアメリカの軍用機が侵入したため、空軍機が緊急発進したと発表した。一方、日本の政府高官は29日夜遅く、「知らない。報告も受けてない。宣伝合戦ではないか。特異な事案があったとは聞いていない」と述べた。
また、防衛省関係者は「自衛隊機に対して中国の戦闘機からスクランブルをされたということはない」と話している。(11/30 01:31)
朝日新聞
中国機の「スクランブル」、防衛相が否定的な見解
2013年11月30日11時53分【園田耕司、ワシントン=奥寺淳】中国が尖閣諸島上空を含む空域に設定した防空識別圏で、中国空軍が自衛隊機や米軍機に緊急発進(スクランブル)をかけたと発表した問題について、小野寺五典防衛相は30日午前、都内で「特異的な状況として公表する事態だとは全く考えていない」と述べ、中国側の主張に否定的な考えを示した。
小野寺氏は「防空識別区(防空識別圏)の設定前も中国機が飛んでいることは確認しているし、設定後に急に中国側の対応が変わったという印象はない」と指摘。そのうえで「中国がどのような航空機をどのような形で飛ばしているかは常時把握している」と述べ、中国側を牽制(けんせい)した。
一方、米国防総省当局者は29日、朝日新聞の取材に対し、中国軍のスクランブルについて確認を避けたが、「我々(米軍)は通常通り、中国が設定した防空識別圏を含む太平洋の国際空間を飛行している」と述べ、通常の任務を続けることを強調した。
http://www.asahi.com/articles/TKY201311300027.html
CNN
中国、日米機に緊急発進
2013.11.30 Sat posted at 09:48 JST(CNN) 中国は29日朝、同国が東シナ海に設定した防空識別圏に進入した米軍機と自衛隊機に対し、戦闘機を緊急発進(スクランブル)させた。中国軍当局者が29日に明らかにした。
中国空軍の申進科報道官(大佐)は、米軍機2機と自衛隊機10機が識別圏で監視活動をしていたとし、中国空・海軍は識別圏に進入したすべての外国軍機を判別・監視していると述べた。
一方、米軍当局者もCNNのインタビューに対し、29日に少なくとも非武装の米軍機1機と自衛隊機数機が識別圏を飛行したが、特に問題は起きなかったと述べた。
当局者は「いつも通り」とし、「通常の活動に変更はない。中国を挑発しているわけではない。米国の航空機はこの地域の公空を毎日飛行している。決して特別なことではない」とし、米軍機の飛行はあくまで予定された日常的活動の一環であると述べた。
産経
中国が日米機に緊急発進、新華社が報じる 日本政府高官は否定
2013.11.29 23:23 [日米関係]【北京=矢板明夫】中国国営新華社通信などは29日、東シナ海上空に設定した防空識別圏に同日午前に進入した米軍機と自衛隊機に対し、中国空軍が戦闘機を緊急発進(スクランブル)させて対応したと報じた。中国空軍の申進科報道官(大佐)による発言として伝えられた。
申報道官は防空圏に入ったことを確認した機種について、米軍機は哨戒機、電子偵察機の2機だと説明。26日に識別圏内を飛行した米軍のB52戦略爆撃機は含まれていない。自衛隊機はF15戦闘機、空中警戒管制機(AWACS)、哨戒機の計10機だとした。
緊急発進したとされるのは中国空軍の主力戦闘機Su30とJ11。申報道官は「中国空軍は防空圏に進入した外国軍機の全航程を監視し、機種を明確に判別している」と述べた。
一方、29日付の中国軍機関紙、解放軍報は中国が新型のAWACSと主力戦闘機による哨戒を28日から始めたとする申報道官の発言を伝えた。公表された機種には緊急発進したとされるSu30、J11も含まれる。いずれも南京軍区内の空軍基地所属とみられる。
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日本政府高官は29日、中国機が防空圏で緊急発進したと伝えた中国側の報道について「特異な事案があったとは聞いていない」と否定した。また、日本の外務省幹部も同日、「でたらめではないか。(中国は防空圏を監視しているという)形を見せようとしている」と述べた。
NHK
中国機の緊急発進 強硬姿勢アピールか
11月30日 8時7分中国は、みずからが設定した防空識別圏に29日に日本の自衛隊機やアメリカ軍機が事前の通告なしに入ったとして、軍の戦闘機がスクランブル=緊急発進したと発表しました。
防空識別圏での監視能力は高いと強調し、日米などに対する強硬な姿勢を内外にアピールするねらいがあるものとみられます。
これは、中国の国営メディアが29日夜に空軍の報道官の発表として伝えたものです。
それによりますと、中国が東シナ海に設定した防空識別圏に、29日午前、日本の自衛隊機のF15戦闘機など10機と、アメリカ軍のP3C哨戒機など2機が、事前の通告なしに入ったとして、中国軍の戦闘機がスクランブルしたということです。
中国軍は、スクランブルしたのは主力戦闘機の殲11などだと説明していますが、どこを飛行したのかなど詳しいことは明らかにしていません。
中国軍によるスクランブルが発表されたのは、今月23日に中国政府が沖縄県の尖閣諸島の上空を含む東シナ海の広い範囲に防空識別圏を設定してから初めてです。
中国空軍の報道官は、防空識別圏は空軍と海軍が共同で監視に当たっているとして、「外国の航空機を常に監視する態勢がとられている」と主張しました。
中国が設定した防空識別圏を巡っては、日本やアメリカが受け入れられないとして強く反発しているほか、中国軍が実際に防空識別圏全体を監視できるのか、疑問視する見方も出ています。
このため、今回のスクランブルの発表は、中国として、防空識別圏での監視能力は高いと強調し、日米などに対する強硬な姿勢を国の内外にアピールするねらいがあるものとみられます。
「監視能力を示したかったか」
元海上自衛官で北京の日本大使館の防衛駐在官を務めたこともある東京財団の小原凡司研究員は「中国は防空識別圏に入った航空機を識別する通常の対応を行ったとみられ、しっかりとした監視能力があることを国内外に示したかったのだろう」と分析しています。
そのうえで、「中国は日本やアメリカの航空機が事前通告なしに防空識別圏に入ったのに何もしていないではないかと国内から批判されることを恐れている」として、能力は高いとアピールするために中国が今後、スクランブルの回数を定期的に公表するなどの対応をとる可能性があると指摘しています。
一方、中国の実際の監視能力については、「沖縄県の尖閣諸島を巡って対立する日本への対抗措置として能力を超える範囲にまで防空識別圏を広げた可能性もある」と述べ、自衛隊とアメリカ軍が協力して中国軍がどの程度の能力を有するのか、情報を収集し、詳しく分析していくことになるとしています。
米軍「この空域で航空機運用続ける」
アメリカ国防総省は29日、声明を出し、事実関係への言及を避けたうえで、「アメリカ軍は今後もこれまでどおり、この空域での航空機の運用を続ける」として中国をけん制しました。
アメリカ政府は、中国による防空識別圏設定の問題を巡り、中国側に対して、「東シナ海の現状を不安定化させる一方的な行為であり、不測の事態を招く危険が高まる」と批判するとともに強い懸念を示してきました。
一方で、今回の発表に先立ち、アメリカ軍の当局者はNHKの取材に対して、「中国は、防空識別圏を設定したからには、日本の自衛隊やアメリカ軍の航空機がその空域に入れば、スクランブルをかけてくるだろう」と予測していました。
この当局者によりますと、従来から、アメリカ軍の航空機が情報収集の一環などで中国の領空近くを飛行した場合、中国軍は戦闘機を発進させて近距離からアメリカ軍機を監視してきたということで、今後、防空識別圏を根拠にして中国軍機の活動がより活発になるかどうか、見極めたいとしています。
緊張高まる中国と日米韓
今月23日、中国が東シナ海の広い範囲にわたり防空識別圏を設定したと発表。
これは日本の防空識別圏とも重なっていて、この中には沖縄県の尖閣諸島の上空も含まれています。
中国政府は公告で防空識別圏を飛行する航空機に対して中国側に飛行計画を通報することや中国国防省の指示に従うことなどを求め、従わない場合には武力による緊急措置をとるとしています。
この中国の動きに対して関係国は一斉に反発。
日本政府が中国に対して一切の措置を撤回するよう求めているほか、アメリカ政府もホワイトハウスをはじめ、ケリー国務長官、ヘーゲル国防長官が一斉に声明を出して強い懸念を示しました。
また、韓国も「韓国の防空識別圏の一部と重なり、遺憾だ」とするコメントを発表しています。
3か国はいずれも航空機を使った監視活動などをこれまでどおり行うとしています。
中国と各国との間で緊張が高まるなか、来週から日本、中国、韓国を訪問するアメリカのバイデン副大統領は中国側に対して直接、懸念を伝えるとともに、防空識別圏を設定した意図について説明を求めることにしています。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20131130/k10013464581000.html