ページ

2013/07/15

【汚染水】海側観測用井戸で高濃度の放射性物質が相次ぎ検出 「汚染水の海洋への拡散が疑われる」

【福島第1原発の現状】 井戸で汚染水相次ぐ 土の壁で海への流出阻止

2013/07/15 12:00









 東京電力福島第1原発敷地内の海側観測用井戸で、高濃度の放射性物質の検出が止まらない。原子力規制委員会は「汚染水の海洋への拡散が疑われる」とみており、東電は海への流出を防ぐため護岸付近を地盤改良し、「土の壁」を作る工事を急ピッチで進めている。


  ▽急上昇

 6月19日、2号機タービン建屋海側の井戸の水で1リットル当たり千ベクレルのストロンチウムと50万ベクレルのトリチウムを検出したことが判明。昨年11~12月に設置した三つの井戸の一つで5月24日に採取した水だった。

 5月以降、港湾内の海水のトリチウム濃度が上昇傾向だったため、地中の状況を調べようと約半年ぶりに測定、昨年12月からストロンチウムは約116倍、トリチウムは約17倍の急上昇だった。

 東電は、この井戸の半径約40メートル圏内に四つの井戸を新たに掘って監視を強化。一方、原因については、事故直後の2011年4月に極めて高濃度の汚染水漏れが判明した2号機タービン建屋からの連絡通路につながる作業用の穴を汚染源と見立て、海への漏えいは否定的だった。


 ▽拡散

 だが、1号機取水口の北側で6月21日に採取した港湾内の海水から、事故後最高値となる1100ベクレル(法定基準は6万ベクレル)のトリチウムを検出。その後も上昇は続き、7月3日には2300ベクレル検出した。

 さらに新設井戸でも高濃度の放射性物質が出た。8日採取の水からトリチウムを63万ベクレル、別の井戸ではストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質を90万ベクレル検出した。

 汚染源と見立てた作業用の穴から遠い井戸でも濃度の高いトリチウムが出たことなどから、規制委は「高濃度の汚染水が地中に漏れ、海洋への拡散が起こっていることが強く疑われる」と東電に疑問を呈した。


 ▽土の壁

 海への流出を防ぐ工事は8日に始まった。2種類の薬剤を一定の割合で混ぜると瞬時に固まる「水ガラス」を使う。地中に浸透させ水を通しやすい地層を「土の壁」に変える仕組みだ。1、2号機東側の海沿い約90メートルにわたり薬剤を注入。壁は二重につくり、今月末までに完成する予定だ。

 だが、ここにきて汚染がさらに広がっている恐れが出てきた。最初の井戸の南約210メートルにある3号機タービン建屋海側の井戸の水は、検出限界値未満が続いていたが、11日採取の水からベータ線を出す放射性物質が1400ベクレル検出された。

 近くには11年5月、タービン建屋につながる連絡通路から高濃度の汚染水が漏れた場所がある。
  東電は連絡通路にたまった汚染水が原因の可能性の一つとみる。こちらも井戸を新設して監視を強める予定で「土の壁」も検討中だ。

(共同通信)

 2013/07/15 12:00

http://www.47news.jp/47topics/e/243433.php