東日本大震災による福島第一原発事故と同じような規模の大事故が福井県の大飯原発で起きた場合、大阪府の広い範囲にわたって放射性物質が拡散する可能性があるという予測が公表された。
滋賀県が気象条件などをもとに独自に作成した予測データで明らかになった。予測データによると、福井県にある大飯原発で福島第一原発と同様の事故があり北寄りの風が長時間吹いた場合、大阪府北部の高槻市から南部の富田林市付近にわたり、安定剤の服用が必要とされる50~100ミリシーベルトの放射性物質が拡散する可能性があるという。
この予測について滋賀県の嘉田知事は「大阪府域が風下にあたるという仮定に基づく計算結果なので冷静な受けとめをお願いしたい」とコメントしている。(03/16 18:24)
福井原発大事故あれば、最悪大阪府下25市町被曝も
滋賀県の想定実験結果
大阪府は16日、福井県内4か所の原子力発電所で福島第一原発級の事故が起きた際の府内での放射性ヨウ素の拡散状況を予測した滋賀県の想定実験結果を発表した。
季節や気象条件の異なる106例のうち、安定ヨウ素剤の服用が必要とされる甲状腺被曝(ひばく)線量50ミリ・シーベルト以上100ミリ・シーベルト未満の地域が出るケースが11例あり、最大で25市町村が被曝するとしている。うち1例は屋内退避が求められる100ミリ・シーベルト以上の地域もあった。
実験は滋賀県の光化学スモッグ拡散予測システムを応用。北風が長時間続いた日に美浜、大飯、敦賀、高浜各原発のいずれかで事故が起こり、放射性ヨウ素が6時間放出されたと想定し、甲状腺被曝線量を試算した。
実験結果では、50ミリ・シーベルト以上100ミリ・シーベルト未満の地域が出た11例のうち、最も広範囲に拡散したのは大飯原発で事故が発生した場合で、府北部の高槻市から大阪、堺両市や東大阪市、府南部の富田林市までの25市町村に及んだ。高浜原発の事故では府最北部の能勢町の一部で100ミリ・シーベルト以上500ミリ・シーベルト未満となった。
松井一郎知事は、報道陣に「府民の避難計画づくりなどに活用していきたい」と話した。
滋賀県は昨年11月、最悪のケースで県内全19市町のうち18市町が被曝するとした実験結果を発表。事故の影響を受ける大阪、京都、兵庫、三重、岐阜、福井6府県と京都市のデータは公開せず、自治体側に情報提供を申し出たという。このため大阪府は滋賀県に提供を求めたが、他の自治体は要請していない。
大飯原発再稼動の地元同意「関西圏域まで」橋下大阪市長
関西電力大飯原子力発電所3、4号機(福井県おおい町)の再稼働に必要な地元同意について、大阪市の橋下徹市長は16日の記者会見で、「福井県だけの同意で再稼働していいという理屈は、今の日本の状況では通用しない。(原発事故で)甚大な被害、影響を受ける関西圏域まで範囲を広げるべきだ」と述べた。
(2012年3月17日 読売新聞)
大阪府
滋賀県による放射性物質拡散予測に関する情報について
大阪府/報道発表資料 via kwout