2011.12.10 21:01 [欧州]
【ワシントン=柿内公輔】カーニー米大統領報道官は9日、欧州連合(EU)がまとめた危機対策は不十分との見方を示すとともに、国際通貨基金(IMF)への資金拠出にも応じないと明言した。
EUが財政規律強化へ新協定を打ち出したことに、カーニー氏は「進展の兆しはある」としながらも「一層の取り組みが必要なのは明白だ」と強調。EU新基本条約制定やユーロ共同債で合意できなかったことに不満を隠さなかった。
一方、米有力シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ研究所のエコノミスト、デスモンド・ラックマン氏は「EUは欧州で広がる信用危機への処方箋を示せなかった」と分析。EUがIMFへ最大2千億ユーロの融資を決めたことにも、ブルッキングス研究所のダグラス・エリオット研究員は「市場を納得させるには不十分」とみる。カーニー氏も「米国の納税者がこれ以上関わる必要はない」として、米国はIMFに拠出しないと指摘。「欧州が解決すべき問題だ」と突き放した。
オバマ政権はガイトナー財務長官をEU首脳会議の直前に欧州に派遣、迅速な対応をEUに促してきた。
米、IMFに追加融資せず EUと対応分かれる
2011年12月10日10時15分
米ホワイトハウスのカーニー大統領報道官は9日、定例の記者会見で、国際通貨基金(IMF)が財政危機国などへの融資枠を拡充しても、米国から追加資金を出す用意がないことを明らかにした。欧州連合(EU)首脳会議が最大2千億ユーロをIMFに貸し出す方針を打ち出し、米国の対応が注目されていた。http://www.asahi.com/business/update/1210/TKY201112100008.html
カーニー報道官は朝日新聞の質問に対し、「IMFには十分なリソース(資力)がある。米国の納税者は追加的な拠出をする必要はない」と語った。
IMFにはいま、利用できる融資枠が4千億ドル弱残っていて、米政府はこの融資枠で十分との立場だ。米国内では、欧州には裕福な国が多く、欧州が自ら資金を積んで域内の支援をするべきだとの見方も多い。これも追加資金を出さないことの背景になっているとみられる。(ワシントン=尾形聡彦)