民間信用調査機関の東京商工リサーチによると、中堅ゼネコンの水谷建設(三重県桑名市、水谷正之社長)は2日までに、債権者である元社長の水谷紀夫氏から大阪地裁に会社更生法の適用を申し立てられ、保全管理命令を受けた。債権者は約500人で負債総額は約353億円。
同社は大手ゼネコンからの下請けを中心に、ダム、高速道路などの土木工事を得意にし、ピークの2003年8月期には約453億7800万円の売上高を計上。しかし、06年に元会長の水谷功氏が法人税法違反で逮捕されて以降、対外的な信用が低下。小沢一郎民主党元代表の資金管理団体「陸山会」へ約1億円の裏献金を渡したという疑惑でも注目を集めていた。関係者説明会は14日に三重県桑名市で開くほか、15日に福岡市、16日には東京で開催する予定。
(2011/12/02-19:26)
http://www.jiji.com/jc/c?g=ind_30&k=2011120200762
水谷建設に会社更生法に基づく保全管理命令関連トピックス原子力発電所小沢一郎
中堅ゼネコンの水谷建設(三重県桑名市)が、会社更生手続きの開始を申し立てられ、大阪地裁が保全管理命令を出した。申し立てと命令はいずれも1日付。同地裁が選任した保全管理人の弁護士によると、8月に解任された水谷紀夫・前社長が、債権者の立場で手続きの開始を申し立てた。申立書によると、負債総額は約353億円、債権者は約500人という。
同社は、小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」をめぐる土地取引事件の元秘書への判決の中で、「計1億円の裏金を元秘書に渡した」と認定されている。
帝国データバンクによると、同社は公共事業削減の影響で、2011年8月期は約2億4600万円の赤字だった。東日本大震災後は、福島第一原子力発電所内への土砂搬入をゼネコンから下請けしていた。
保全管理人によると、申立書では同社について「資金の借り換えを断られたり、預金を凍結されたりしている」と指摘。「海外の建設事業でも多額の赤字を出すなど、債務超過に陥るおそれがある」としている。
保全管理命令が出たことで、同社の取締役会は権限を失う。保全管理人が業務運営と財産管理を行い、事業を継続することになる。関係者説明会が桑名市で14日、福岡市中央区で15日、東京都港区で16日にそれぞれ開かれる。
知事 影響を懸念 経済界 反応冷静
2011年12月03日
■水谷建設 会社更生手続き
県内最大手の建設業者水谷建設(桑名市)に対し、大阪地裁が会社更生法に基づく保全管理命令を出した。鈴木英敬知事は「雇用や県発注工事への影響を注視していきたい。再建に向けて頑張ってほしい」と、雇用への影響を懸念したが、県内経済界は比較的冷静に受け止めている。
県建設業室によると、水谷建設は2009年以降、共同企業体も含めて県発注の12工事を受注しており、うち道路工事や高潮対策工事など6工事は契約金額が1億円超。現在も4工事が契約中で、担当者は「週明けにも工事を継続する意思があるかどうかを確認する」と話している。
県建設業協会によると、水谷建設は大手ゼネコンの下請けとして公共事業に参入し、県外を中心に大型治水ダムや臨海部の開発事業などを手がけてきた。海外にも進出し、昨年8月期には売り上げの約56%を海外分が占めていたという。
協会の大井良之事務局長は「完成工事高が県内トップの企業だけに驚いたが、県内の業者を孫請けに使うケースは少なく、すぐさま何らかの影響があるとは考えにくい」と話す。
以前は、同社社長が桑名商工会議所の議員を務めていたが、小沢一郎・民主党元代表の資金管理団体「陸山会」による土地取引事件などを受けて、現在は一般会員の身分になっているという。県建設業協会の理事も務めていたが、数年前には辞めており、県商工会議所連合会は「最近では、県内経済界での活動実績はほとんどない」としている。
民間信用調査会社によると、従業員数は388人。11月18日に株主総会を開き、組織の一部改編と役員変更の承認を得て、12月1日付で新体制でスタートする予定だった。これを前に、11月26日には社内や全国の事業所の責任者ら100人を集め、県警の組織犯罪対策課の担当者による暴力団対策の勉強会を開いたばかりだった。
倒産・動向記事
2011/12/02(金) 土木工事
地場大手の土木工事業者
水谷建設株式会社
債権者より会社更生法を申し立てられ、保全管理命令受ける
負債353億円
TDB企業コード:460019382
「三重」 水谷建設(株)(資本金1億4550万円、桑名市蛎塚新田328、代表水谷正之氏、従業員388名)は12月1日に債権者より大阪地裁へ会社更生法を申し立てられ、同日保全管理命令を受けた。
保全管理人は天野勝介弁護士(大阪市中央区北浜1-8-16、電話06-6202-1099)ほか16名。
当社は、1946年(昭和21年)5月に創業、60年(昭和35年)12月に法人改組した土木工事業者で、初代代表には水谷一三氏が就任した。大手ゼネコンからの下請けを主体として、ダム、空港、高速道路工事など、所有する大型重機を用いた土木工事を得意とし、2003年8月期には年売上高約453億7800万円を計上。しかし、2006年には元会長の水谷功氏が法人税法違反(脱税)で逮捕される事態が発生、対外信用が大きく低下していた。
近年は公共事業が削減されるなか、リストラにも着手していたが、この間さらに小沢一郎元民主党代表の資金管理団体「陸山会」の土地取引をめぐる資金のやりとりが裁判で明らかにされたほか、東日本大震災後は被災した福島第一原子力発電所内への土砂搬入事業をゼネコンからの下請けで受注していたが、2011年8月期の年売上高は約187億2600万円にまでダウン、約2億4600万円の最終赤字となっていた。
こうしたなか、8月には前代表の水谷紀夫氏を含む6名の取締役が解任され、紀夫氏の甥で専務取締役であった水谷正之氏が代表に就任する一族間の問題も表面化し、動向が注目されていた。
負債は債権者約500名に対し約353億円。