2011年12月2日20時43分
英政府は1日、原子力発電所の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを、プルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料に加工する工場を新設する方針を発表した。
エネルギー・気候変動省などによると、工場では英国が保管する約112トンのプルトニウムを加工し、原発の燃料として再利用する。日本の電力会社などが英国で所有するプルトニウムの受け入れも検討する。
英紙インディペンデントによると、建設地は原子力施設が集中する英北西部セラフィールドが有力という。
セラフィールドにあるMOX燃料工場は8月に閉鎖が決まった。故障続きだったうえ、東京電力福島第一原発の事故で、唯一の取引先だった日本のプルサーマル計画の先行きが不透明になったのが理由だ。
このため英政府は、安全性や採算の確保ができる見通しがつくまでは建設に着手しないとしている。インディペンデント紙によると、MOX工場の建設が断念された場合は、セラフィールド地下の放射性廃棄物処分場へプルトニウムを埋設することも選択肢の一つになると指摘している。(ロンドン=伊東和貴)
英がMOX新工場、海外プルトニウム受け入れも
【ロンドン=大内佐紀】英政府は1日、原発の使用済み核燃料から取り出したプルトニウムを、国内原発でウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料として利用するため、MOX燃料加工工場を新設する暫定方針を発表した。
新たなMOX工場では、英国で保管する海外の使用済み核燃料由来のプルトニウムの加工も行う。英国が、所有権が外国にあるプルトニウムを売却などの形で譲り受けることも検討するという。福島第一原発事故後、MOX燃料を燃やすプルサーマル計画が足踏みする日本にとっては、プルトニウム在庫を英国に譲渡する選択肢も出てきそうだ。
英メディアによると、新工場建設地は中西部セラフィールドが有力。同所には別のMOX工場があるが、取引先の日本での計画が不透明になったことなどを理由に今年8月、閉鎖が決まった。
(2011年12月2日22時08分 読売新聞)