高速増殖炉原型炉もんじゅ(福井県)で燃料交換に使う装置が原子炉格納容器内に落下した事故で、日本原子力研究開発機構は23日、装置が引っ掛かった原子炉容器の上ぶたの一部ごと引き上げる大掛かりな作業を始めた。24日までに引き上げを終える予定。冷却処理などを経て今秋までに事故前の正常な状態への復旧を目指す。
装置は水や空気と触れると激しく反応する冷却材のナトリウムに一部が漬かっている状態のため、ナトリウムが外気に触れないようアルゴンガスを注入した専用の大型収納容器を通して行った。
引き上げは1分間に6センチ程度のペースで進められ、作業全体で約8時間かかる。
2011/06/23 21:45 【共同通信】
もんじゅ炉内落下の装置、引き上げ開始
2011年6月23日21時8分
日本原子力研究開発機構は23日夜、高速増殖原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の原子炉容器に落下した装置を引き抜く作業を始めた。今回が3度目の挑戦。うまく引き抜けても、機器が元通りになるまで数カ月はかかる。東京電力福島第一原発の事故後、もんじゅを含む核燃料サイクルをめぐる環境は厳しさを増しており、運転再開が長引くようだと、もんじゅの存廃にもかかわる事態になりかねない。
原子力機構は23日午後8時50分、クレーンを使って装置を引き抜く作業に入った。引き抜きには専用容器「簡易キャスク」を使い、終わるまで8時間程度かかるという。
もんじゅはこれまで、様々なトラブルを起こしてきた。1995年のナトリウム漏れ事故では情報隠しが不信を招き、再起動まで14年5カ月もかかった。再起動後の昨年に起きた装置の落下も、不十分な管理が招いた結果だった。