電力不足で生産・輸出伸び悩み 2011/6/14 19:59
日本経済研究センターは14日、東日本大震災の影響を織り込んだ2020年度までの中期経済予測をまとめた。定期検査に入った全国の原子力発電所が再稼働しなかった場合、工場の稼働率低下などで年間7.2兆円の経済損失が発生すると試算した。火力発電などによる代替では夏のピーク時の電力不足は解消できないとみている。
予測では、民間設備と労働力を平均的に使って生み出せる潜在国内総生産(GDP)の減少を経済損失ととらえた。
電力不足で生産や輸出が伸び悩む一方で、火力発電へのシフトや資源高で化石燃料の輸入コストが急増すると判断。貿易収支は11年度から赤字に転落し、海外からの利子や配当の受け取りを含めた経常収支も17年度には赤字に転じると予測している。
原子力発電から火力発電へのシフトで、二酸化炭素(CO2)の排出量は20年度には1990年度比で14%増えると試算した。