5.12.2010, 16:12
ロシアは提案し警告する
セルゲイ アニシモフ
この一週間を振り返って、世界政治において鍵を握る重要なテーマとなったのは、MD(ミサイル防衛システム)及び戦略攻撃兵器問題をめぐりロシアが示した発意だった。
11月30日メドヴェージェフ大統領は、上院での年次教書演説の中で、これらの問題に対し本質的な注意を割いた。又プーチン首相は、その3日後アメリカの著名なジャーナリスト、ラリー・キング氏の質問に答えた中で、これらのテーマについてさらに話を進めた。
ロシアとNATOは、欧州・大西洋地域の平和と安全を共に保障しなければならない存在だが、メドヴェージェフ大統領は、これに関連し教書演説の中で「そうしたパートナーシップは、安全と相互信頼、予見性という原則の上に立った平等なものでなければならない」と指摘し、次のように続けている―
「率直に言って、今後10年の間に我々は、次のような二者択一の選択に迫られるものと考える。ミサイル防衛システムをめぐって合意を達成し協力の完全なメカニズムを創り出すか、それとも新たな軍拡競争を始めるかという選択だ。」
残念ながら、今年4月にメドヴェージェフ・オバマ両大統領により調印された戦略攻撃兵器削減に関する新しい条約は、現在に至るまで米上院で批准されていない。米共和党議員達が「条約はアメリカの利益よりも、ロシアの利益に大きく答えている」とみなしているからだ。
そうした状況を懸念し、プーチン首相は、次に用に発言した―
「もしロシアの提案に対し、否定的な答えばかりが返ってきたり、我が国の国境のすぐ近くにMD関連施設の新たなバリエーションとして、追加的な脅威が出現するのであれば、ロシアは様々な方法によって、自国の安全を保障せざるをえないし、国境付近に生じる新たな脅威に決定的打撃を与える新たな施設を設置したり、核ミサイルを製造しなくてはならなくなる。これは、我々が望んでそうするわけではなく、そうした選択をするよう仕向けられるのだ。
ロシアは、情報交換や共通の管理システムについてNATO側と合意する事も可能だろうが、そのためには相手は、ロシアの利益についても考慮しなければならない。そうでなければ、交渉は成立しない。」
専門家達の大部分は、将来ロシアとNATOが協力できるかどうかは、まさにMDをめぐる話し合いの成功いかんにかかるだろうと捉えている。ロゴージンNATO担当ロシア大使も、そう考えている―
「NATO諸国は、NATO版のミサイル防衛システムづくりについて、3月の閣僚レベル会合であらかじめ合意に達しようと努めており、夏には,準備ができたばかりの案をロシアに示す考えでいるが、ロシアにとって、そうしたシナリオは受け入れられない。
欧州におけるMDは、ロシアが加わるものか、あるいはロシアに対抗するものになりうる。ロシアの国境の北西部に、MD関連の軍事インフラができたと我々が知ったならば、もはや北極やロシアの戦略軍について話す事はない。我々は、いかなるMDにも打ち勝ち、それを叩き潰すために、決定的な攻撃力を持たざるをえなくなる。そうしたシナリオを我々は全く望んではいない。
ロシアは別の相互行動のやり方を提案している。すべての国にとって平等で一体不可分の、安全に関する一つにまとまった法的拘束力を持った条約作りだ。ロシアとNATOのMDに関する協同行動のルートマップは、早ければ12月8日、大使レベルでのロシア・NATO評議会で採択されるだろう。」