【防空識別圏】 米軍爆撃機の飛行は全航程を監視識別し種類も特定したが武力による緊急措置は「さまざま状況や脅威の程度に応じて対応する」=中国外務省
中国 脅威の程度に応じ緊急措置
11月27日 19時31分
中国が、東シナ海の広い範囲に設定した防空識別圏内を、アメリカ軍の爆撃機が初めて飛行したことについて、中国国防省は、27日爆撃機を監視していたことを明らかにしました。
また、中国外務省の報道官は、実際に武力による緊急措置をとるかどうかは、「脅威の程度に応じて、対応する」と述べました。
中国国防省は、今月23日、沖縄県の尖閣諸島の上空を含む東シナ海の広い範囲に、防空識別圏を設定し、合わせて発表された公告では、この空域を飛行する航空機に対して、フライトプラン=飛行計画書の提出や中国国防省の指示に従うことなどを義務づけ、従わない場合、武力による緊急措置をとるなどと警告しています。
こうしたなか、アメリカ軍の爆撃機が、中国が設定した防空識別圏を事前に、通告せず26日初めて飛行し、中国国防省は、27日、「すべての航程を監視して、直ちに識別し、航空機の種類も特定した」という談話を出しました。
これについて、中国外務省の秦剛報道官は、27日の記者会見で、「アメリカ軍の爆撃機への中国の対応は、防空識別圏の公告に基づくものだ」と説明する一方で、実際に武力による緊急措置をとるかどうかについては、「さまざま状況や脅威の程度に応じて、対応する」と述べました。
そのうえで、「中国政府には、国家の主権と安全を守る決心と十分な能力、それに防空識別圏を有効に管理する能力がある」と強調しました。
27日の記者会見では、各国のメディアから、南シナ海をはじめほかの空域で、防空識別圏を設定する予定の有無などについて質問が相次ぎ、秦報道官は、「関係する準備作業を終えしだい、発表する」と述べ、ほかの空域でも防空識別圏を設定する可能性を示唆しました。
民間機の飛行に影響なし
中国が設定した防空識別圏を巡って、日本側が、民間の航空機を含め中国側が求めているフライトプランの提出に応じないことを決めたことについて、中国外務省の秦剛報道官は、27日の記者会見で、「防空識別圏の公告には、明確な規定があり、関係する各方面は積極的に協力するよう望む」と述べる一方で、「民間の航空機の通常の飛行には、影響を与えない」と述べました。
中国オーストラリアに抗議
中国が沖縄県の尖閣諸島の上空を含む東シナ海の広い範囲に防空識別圏を設定したことにオーストラリア政府が懸念を示したことについて、中国外務省の秦剛報道官は27日、談話を発表し、「オーストラリアが口出しするのは完全に誤りであり、受け入れられない。中国はオーストラリアが両国関係を損なわないよう直ちに誤りを正すよう促す」として抗議したことを明らかにしました。
今回の中国の防空識別圏の設定を巡っては、日本やアメリカなどからも抗議や懸念の声が上がっていますが、中国外務省は「国際法にのっとったもので、国家の主権と領土・領空の安全を守るのが目的だ」と反発していて、日本やアメリカの北京駐在の大使にそれぞれ抗議しています。