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2013/09/19

【汚染水】 東電は2011年6月に汚染水の拡大・流出を食い止めるため遮水壁の建設を検討しながら見送り 

東電が2年前に遮水壁見送り、債務超過との見方懸念か

2013年09月19日(木)11時31分






[東京 19日 ロイター] - 福島第1原発の汚染水問題への対応で、東京電力(9501.T: 株価, ニュース, レポート)が2011年6月に汚染水の拡大・流出を食い止めるため、遮水壁の建設を検討しながら見送っていたことが19日、明らかになった。

当時の菅直人内閣で原発事故担当首相補佐官を務めた馬淵澄夫・民主党衆議院議員がロイターの取材で証言した。東電の内部文書によると、工事費負担をめぐり市場から債務超過とみなされることを懸念したとみられる。

福島第1原発事故発生から2週間あまり経過した11年3月26日、馬淵氏は首相補佐官に就任。地下水が原子炉建屋に流入して汚染されることを防ぐ目的で、粘土系材料による遮水壁の設置計画の検討を進めていた。

馬淵氏はロイターの取材で、「(建屋の)四方を囲む遮水壁を作ることで材料も決定した。6月11日には私が現地に入って、(福島第1原発の)吉田昌郎所長(当時、今年7月死去)とともに境界画定までしてきた」と話した。

同計画について6月14日には記者発表する予定だったが、「武藤栄副社長(当時)が海江田万里・経済産業大臣(同)に記者発表を控えてほしいと言いに行った」(馬淵氏)という。

この問題について東電は内部文書を作成。1)地下水の遮へい対策費用は1000億円レベルになる可能性もある、2)政府側から国プロジェクト化の示唆があるが、現状でめどが立っていない、3)1000億円レベルの債務を計上をすれば、市場から債務超過に近づいているとの評価を受ける可能性が大きく、これは是非回避したい──などと記載されている。

東電は同文書を作成したことを認めている。武藤氏の動きを聞きつけた馬淵氏は、海江田氏と面談。当時のやり取りについて馬淵氏は次のように証言した。

「海江田大臣に『遮水壁を作るということでいいか』と聞いたら、『遮水壁は遅滞なく進めないとだめだ』と言うので、大臣の言をそのまま武藤さんの所に行って伝えた。武藤さんは、その場で『(遮水壁について)遅滞なく進めます』と言った」と述べた。

馬淵氏は、遮水壁計画の記者発表も行うよう海江田氏に迫ったが、「資本市場の混乱を看過できないという経産大臣としての一つの判断」として、受け入れたという。

ただ、菅内閣は11年6月28日、細野豪志氏を新設の原発事故収束担当相に起用する一方で、馬淵氏は補佐官を辞任。14日に発表するはずだった遮水壁の計画は、「私が辞めた後、この案は消えたしまった」(馬淵氏)という。

東電の広報担当者は、遮水壁を進めるとした武藤氏の発言について「当時のやり取りについては現段階で詳細は不明」と回答。その上で同担当者は、「遮水壁については検討を続け中断したことはない。ただ、技術的な課題が多く実現性は不透明だった。その費用を債務認識すると会社が債務超過に近づくとの懸念があった」と説明した。

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