【汚染水】 地下水に到達=東電
福島第一 タンク漏水 地下水到達 井戸から放射性物質
2013年9月6日 07時09分
東京電力福島第一原発の地上タンクからの水漏れ事故で、東電は五日、漏れた水が地下水まで達していたと発表した。問題のタンク近くの観測用井戸で四日に採取した地下水から、高い値の放射性ストロンチウムなどを検出したことから判明した。タンクからの水漏れで、地下水汚染のデータが確認されたのは初めて。
タンクからの水漏れは先月十九日に発覚し、東電は漏出量を約三百トンと推定。タンクの処理水は放射性セシウムなどガンマ線を発する物質を除去しているが、ストロンチウムなどベータ線を出す放射性物質を高濃度に含んでいた。
タンクから漏れた水のほとんどは地面に染み込んだり、近くの排水溝を通じて外洋に流れ出したとみられており、東電は周辺に井戸を掘るなどして汚染の広がりを調べていた。
地下水を採取した井戸は、タンクから十メートル南側にあり、深さは七メートル。くみ上げた水からは、一リットルあたり六五〇ベクレルの濃度のストロンチウムなど、ベータ線を出す放射性物質が検出された。処理水に比べると濃度は十万~百万分の一と低いが、別の場所の井戸よりは明らかに高濃度だった。
このため東電は「ストロンチウムを含むタンクの水が雨水と混ざって薄まり、地下水に到達した可能性がある」と判断した。今後は追加で井戸を掘るなどし、さらに詳しく調査する。
<ベータ線> 放射線の一種で放射性ストロンチウムなどが発する。福島第一原発の原子炉に注がれた冷却水には、ベータ線を発する放射性物質が外部放出できる濃度の数百万倍も含まれている。放射性セシウムが発するガンマ線とは違い、体を突き抜ける力が弱く、汚染源から数十センチ離れれば線量は急減。直接触れなければ被ばくの影響は少ない。ただ、ストロンチウムは骨にたまりやすく、体内に取り込むと健康への影響が大きいとされる。
(東京新聞)