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2013/09/10

【汚染水】 漏洩した同型のタンク約300基を総入れ替え  「遮水壁」の建設費などに2013年度予算から210億円の予備費を投入

首相公約受け、汚染水対策を強化 タンク総入れ替え 

2013/9/10 1:23





 2020年の東京五輪の招致に向け安倍晋三首相が東京電力福島第1原子力発電所の汚染水問題を制御できているとの見方を示したことを受け、政府は対応を強化する。9日に東京電力と初の現地調整会議を福島県内で開き、漏洩が見つかったタイプと同じ型のタンク(約300基)の総入れ替えを決めた。ただ首相の国際公約を果たすには課題も多い。
 10日には福島第1原発の廃炉・汚染水対策関係閣僚会議を初めて開く。福島県内で9月中にも、関係省庁の職員計10人弱が常駐する現地事務所を開設する方向だ。9日の会議で議長を務めた赤羽一嘉経産副大臣は「会議のメンバーで小さなリスクも共有し、抜本的な対策をとる」と表明した。

 政府が前のめりになる背景には国際オリンピック委員会(IOC)総会での首相の発言も大きく影響している。

 「汚染水の影響は福島第1原発の港湾内の0.3平方キロメートルの範囲内で完全にブロックされている」。首相は対応策が機能している点を強調した。福島第1原発は広さ0.3平方キロメートルの港湾に面しており、港湾の出口の水中に特殊素材によるカーテン状のシルトフェンスと呼ぶ膜を張っている。これにより汚染水漏れがあっても「港湾内」にとどまるというのが政府の言い分だ。

 ただフェンスは完全でなく「多少の海水の行き来はある」(東電)。原発敷地内の汚染水の動きは正確には分からず、どれだけが海に流れ出しているかも不明だ。首相が示した制御という判断にそぐわない面もある。

 首相は「(放射性物質の)数値は最大でも世界保健機関(WHO)の飲料水の水質ガイドラインの500分の1だ」とも語った。WHOによる飲料水の水質ガイドラインは放射性物質の濃度基準を定めており、トリチウムで1リットルあたり1万ベクレル、放射性セシウムで同10ベクレル。海洋内の放射性物質の濃度はこれを大幅に下回る。ただ放射性物質の濃度は高止まりしており、少しずつ海に染み出している可能性はある。

 国際社会の懸念に配慮し、山本一太科学技術相は15~17日の日程で、ウィーンで開く国際原子力機関(IAEA)総会に出席し、470億円の国費投入などの対策を説明する。一方、汚染水問題の緊急度が高いとみるIAEAは、今秋に日本へ調査団を送る予定だ。






汚染水「2カ月以内に対応策」 初の関係閣僚会議 

2013/9/10 12:21
 政府は10日午前、東京電力福島第1原子力発電所の汚染水問題を収束させるための関係閣僚会議を初めて開き、海外の専門家からも知見を募集した上で2カ月以内に対応策をまとめることを決めた。閣僚会議の下に茂木敏充経済産業相をチーム長とする「廃炉・汚染水対策チーム」も設置。体制の強化によって、汚染水の拡散を防ぐ姿勢を国内外に印象づける狙いがありそうだ。

 関係閣僚会議は菅義偉官房長官が議長となり、経済産業相や財務相、外相、原子力規制委員長などで構成。安倍晋三首相が7日の国際オリンピック委員会(IOC)総会で「汚染水問題は制御できている」と発言したことを受け、菅官房長官は会議の冒頭で「状況を今後ともコントロールして、解決につなげることが必要だ」と強調した。

 今後2カ月でつくる対応策には、すでに決めた対策がうまく行かなかった場合の予防的措置も盛り込む。福島第1原発の周辺では漁業者などから汚染水問題による風評被害を懸念する声が強くなっているため、各省庁が協力して地元住民に説明する体制を築く。

 汚染水問題への国際的な関心が高まっていることを受け、内閣官房国際広報室による海外メディアへの発信機会を増やすことも決めた。

 政府は地下水の放射性物質による汚染を防ぐため、建屋を凍った土でおおう「遮水壁」の建設費などに2013年度予算から210億円の予備費を投入することなどを10日午後にも決める。