ザヒ・ハワス文化財担当国務相(写真中央右)が内閣改造で辞任した。考古学の権威として世界にエジプトの文化財や観光をアピールした功績は大きいが、ムバラク前政権と深いつながりがあり、腐敗批判が付きまとった 【時事通信社】http://www.jiji.com/jc/p_archives?id=20110720152651-1134372
平成23年7月20日
◎エジプト考古学の権威、ハワス氏が辞任=エジプト
【カイロ時事】カウボーイハット姿でエジプトの遺跡に登場し、日本のテレビ番組にもたびたび出演したザヒ・ハワス文化財担当国務相が内閣改造で辞任した。エジプト考古学の権威として世界にエジプトの文化財や観光をアピールした功績は大きいが、ムバラク前政権と深いつながりがあり、腐敗批判が付きまとった。
ハワス氏はアレクサンドリア大卒業後、ピラミッドを管理・調査する考古学庁の責任者などを務め、エジプト考古学会のトップに上り詰めた。記者会見や講演では巧みな話術で世界の考古学ファンを魅了、エジプト古代世界へ駆り立てた。
しかし、ムバラク前大統領夫人に古代のネックレスを贈った疑惑が浮上したほか、考古学博物館への土産物屋の出店をめぐり、特定業者に便宜を図った疑いで法廷闘争に発展したこともある。日本のある考古学者は「ハワス氏の協力がなければ、エジプトで仕事はできない」といい、同氏は権力を一手に握っていたと指摘する。
ハワス氏は、英ナショナルジオグラフィック協会から年間約20万ドル(約1600万円)の謝礼金を受け取っていたという。同氏は米紙に「法律に反することは何もしていない。私は政治家ではなく考古学者だ」と身の潔白を主張した。
ただ、エジプト国内では「ハワス氏は泥棒」との声もあり、多くの国民は辞任を歓迎している。