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2011/06/13

過酷な作業環境について「『何時間やってください』という指示はない。『身体の限界がきたら休んでください』という指示は出されている。だけど、大体できるのは2時間。

続く爆発、暑さ…原発作業員が現場を語る
2011年6月13日 18:50
 現在も厳しい作業が続いている福島第一原子力発電所で働く作業員が、NNNのインタビューに対し、過酷な作業現場の詳細を語った。東日本大震災の発生から3か月が経過し、原発内では、夏を前に新たな課題に直面していた。

 NNNは、福島第一原発で約2か月にわたって作業をしている男性にインタビューを行った。敷地内の放射線量について、男性は「3号機の周りは高いですね。中が高い。あとは、(放射性物質を含む)汚染水が通っている所も高い」と話した。3号機周辺は水素爆発で放射性物質が付着した大量のがれきが散乱したため、放射線量が高いとみられている。

 男性によると、3号機と4号機では建屋の破壊が現在も進んでいる。3号機は、1号機が爆発した2日後の3月14日に水素爆発を起こし、4号機は翌15日に水素爆発を起こしている。男性は「来るたび来るたび、『またひどくなった』という感じ。たまに音がする、『ゴーン』と。爆発音みたいなものが聞こえる」と話している。

 「東京電力」はこれ以上の倒壊を防ぐため、燃料プールの下を鉄骨で支える補強工事を行っているが、思うように進んでいない。



 放射線量を管理しながらの過酷な作業が続く作業員の心理状態について、男性は「初めは怖かった。怖くて、雨の水たまりがあると、(放射線が心配で)入れなかった。今じゃ、バシャバシャバシャと(平気で入る)。みんなマヒしている。くたびれている、みんな。会話も少ない。座って、壁に背中をつけている」と話し、連日の緊迫状態に、感覚がマヒし始めていることを明かした。

 男性はまた、過酷な作業環境について「『何時間やってください』という指示はない。『身体の限界がきたら休んでください』という指示は出されている。だけど、大体できるのは2時間。集中してできるのは2時間。8時間ぶっ通しでやっていた」「1F(福島第一原発)に車で行くときに救急車とすれ違うと、ぞっとします」と話した。

 長時間の作業で特に体力を奪うのは、暑さだという。男性は「汗だくです。マスクの中も、汗がたまってくるような感じ。体もビチョビチョだし。手袋を取った瞬間、ビチャビチャって汗が出る。暑さだけで倒れると思います」「医療班の先生は『熱中症はどうにもならない』『だから一番怖い』と言っていた」「小さい休憩所でいいから、マスクを外せて、水やスポーツドリンクを飲んで。そういう施設をつくらないと、夏場は乗り越えられない」と訴えた。

 東京電力によると、熱中症や脱水症状を訴えて病院で手当てを受けた作業員は、これまでに12人に上っている。今後、休憩施設を増やすとしているが、施設の環境整備が急がれている。

 汚染水の浄化作業の進行状況について、男性は「1Fは矛盾の塊。東京電力の現場の人間は、工事を安全な方法に持っていくために色々なことを考えて指示する。駄目なものは駄目、できるものはできるという形でやっているが、全てが循環がうまくいっていない」と語った。

 浄化作業は予定より遅れているが、東京電力や政府の統合本部は「工程表に大きな見直しはない」と言い続けている。現場の作業員は、現場と東京電力、政府の間の連携がうまくいっていないと感じているという。

 男性のような作業員の数について、東京電力は13日時点で155人としている。しかし、協力会社や下請け業者を含めると、実数は把握しきれていないという。