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2011/06/16

当日はエジプト大使館関係者と姫井由美子民主党参院議員が炊き出しを実施。県は、料理から検出された「ウェルシュ菌」が原因の食中毒

東日本大震災:福島の避難所で69人が食中毒 炊き出し料理が原因
 東日本大震災の避難者約150人が生活する福島県田村市船引町の旧春山小避難所で鶏肉料理を食べた69人が食中毒を発症していたことが15日、県庁への取材で分かった。料理は県外の支援団体が提供したもので、県は食中毒の事実を発表しなかった。

 県食品生活衛生課によると、4日午後5時ごろ、県外の支援団体が鶏肉の煮込み料理を避難者ら約120人に提供。約1時間半後、19~90歳の男女69人が腹痛や下痢などの食中毒症状を訴えた。このうち1人は通院したが症状は軽く、全員快方に向かっているという。発症者9人と料理の検体から食中毒を引き起こすウエルシュ菌が検出され、同課は提供された料理による集団食中毒と断定した。

 県は避難所での炊き出しについて十分な加熱など食中毒の予防策を呼びかけているが、「お見舞いや支援で持ち込まれる料理に関しては提供者に自主的な予防をお願いするしかない」と話している。【種市房子】

毎日新聞 2011年6月15日 東京夕刊







福島の避難所で初の集団食中毒…エジプト料理の炊き出しで
 福島県田村市の避難所で今月4日、エジプト大使らが訪問した際に振る舞われたエジプト料理の炊き出しを食べた69人が食中毒症状を訴え、うち9人の便と料理からウェルシュ菌が検出されたことが15日、県関係者などへの取材で分かった。県によると、既に全員が回復した。厚労省によると、東日本大震災の避難所で食中毒が発生したのは初めてとみられる。

 食中毒が発生したのは避難所になっている田村市の廃校。4日の夕食でエジプト料理の鶏肉の煮込みを食べた118人のうち、19~90歳の男女69人が翌5日夕までに下痢や腹痛を訴えた。

 料理は別の場所で作った後、持ち込まれたとみられる。取材に対し大使館は「担当者に確認中」としている。福島県は「ウェルシュ菌による食中毒は加熱調理した料理を常温で放置した後、再加熱して食べた場合によく発症する。食べ残した物は冷蔵庫で冷やすなどの対策を取ってほしい」と呼び掛けている。

2011年6月16日 06:00









ぶって姫“下痢地獄”一晩寝かせた?厄介な相手とは…
2011.06.16
 福島県内の避難所で振る舞われたエジプト料理を食べた被災者69人が、今月4日、下痢や腹痛などの症状を訴えた。当日は、ワリード・アブデルナーセル駐日エジプト大使をはじめとした同国大使館関係者と、日本・アフリカ連合友好議員連盟の事務長を務める姫井由美子・民主党参院議員が炊き出しを実施。県は、料理から検出された「ウェルシュ菌」が原因の食中毒とみて詳しく調べている。

 何とも残念な食中毒が発生したのは、田村市の旧春山小学校。別の場所で調理されたグリーンピースご飯とエジプト家庭料理の鶏肉とパプリカの煮込み、ハイビスカスのジュースとエジプトのデザートなどが、避難住民や町職員ら118人に提供された。姫井氏のブログによれば、4日午後に約200人分を大型バスに積み込み都内を出発し、夕食に提供した。

 このうち、19~90歳の男女69人に下痢や腹痛の症状が翌5日夕までに出た。医療機関に搬送された人は出ず、翌日までに全員が回復。9人から食中毒の原因となるウェルシュ菌が検出されたほか、夕食として出された炊き出しの鶏肉とパプリカの煮込みの残りからも検出されたという。

 聞き慣れないこのウェルシュ菌、実は身近で意外と厄介だ。

 料理研究家の原るみさんは、「給食施設のように、カレーやシチューなど、数日前に大量に加熱調理し、大きな器のまま室温で放冷されていた食品に多い」と話す。

 「この菌は調理した物が、冷める間に増殖します。作った翌日のほうが味がしみておいしいといわれる料理も、この時期は気をつけたほうがいい。不自由な避難所の生活で、睡眠不足などから、体の抵抗力が低くなっていることも影響していると思います」

 よりうまみが増すといわれる「一晩寝かせたカレー」も非常に危険。やむを得ず事前に加熱調理した場合は、菌の発育しやすい50度前後を長く保たないように注意し、保管の際は小分けして急速に冷蔵することという。

 ワリード大使は、エジプトの民芸品のお土産を一人一人に用意したほか、震災孤児5人を夏休みにエジプト旅行へ招待することも表明。帰京時には、多くの被災者がバスが見えなくなるまで手を振るなど友好ムード満点だっただけに、何とも残念な事態となった。

 ■ウェルシュ菌  人や動物の腸管、水中など自然界に広く分布。熱に強く高温でも死滅しない。主な症状は腹痛、下痢。