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2011/06/22

東北南部が21日に梅雨入りし、100ミリの雨が降ると、タービン建屋の地下の汚染水は50ミリから70ミリ程度水位が上昇すると見込まれ、汚染水があふれ出ることが懸念されている。

雨水、緊急対策に着手…福島第一
 東京電力は、福島第一原子力発電所の汚染水処理が遅れる中、東北地方の梅雨入りを受け、汚染水の発生を抑制する緊急対策に乗り出した。爆発で吹き飛んだ建屋の屋根をふさぐなど、雨水の流入を防ぐ一方、原子炉への注水量を絞っている。敷地内にたまった高濃度汚染水は、処理が進まないと月末にあふれ出す恐れがあるが、注水の抑制で3号機は原子炉の温度がわずかに上昇しており、東電は苦しい対応を迫られている。

 汚染水は、原子炉に注入している冷却水の漏出が原因。東電は1、2号機への注水量を、前日に続き22日もさらに毎時0・5トンずつ削減。1号機は同3・5トン、2号機は同4トンとした。しかし、3号機は原子炉周辺の温度が比較的高く、同10トンの注水を続けている。

 雨水対策は、各建屋の周囲に土のうを設置するほか、屋根の穴や扉の隙間などを鉄板でふさいでいる。

 汚染水は、最も水位が高い3号機の作業用トンネル(トレンチ)で22日午前7時現在、地表まであと12センチに迫っている。浄化処理が進まない場合、29日にも地表などへあふれ出すと予測されているが、雨水が流入すれば早まる可能性がある。

 5月末に台風から変わった温帯低気圧が通過した際は、同トレンチの水位が1日で6・5センチも上がった。

 気象庁は「東北南部の今後1か月の予想雨量は、平年より少なめだが、梅雨末期は活発化することがあり、注意が必要だ」としている。

(2011年6月22日 読売新聞)






梅雨入り 汚染水あふれる懸念
6月22日 4時19分
東京電力福島第一原子力発電所では、汚染水がたまり続ける中で、福島県を含む東北南部が21日に梅雨入りし、汚染水があふれ出ることが懸念されています。課題解決の鍵を握る浄化設備ではトラブルが相次いでいて、東京電力は、汚染水の元となる原子炉への注水を減らすなど対策を重ね、汚染水があふれ出るのを食い止めようとしています。

福島第一原発では、原子炉建屋やタービン建屋の地下などに11万トン以上の高濃度の汚染水がたまっているとみられ、さらに原子炉への注水によって1日500トンほどのペースで増え続けています。

こうしたなかで福島県を含む東北南部が21日に梅雨入りし、100ミリの雨が降ると、タービン建屋の地下の汚染水は50ミリから70ミリ程度水位が上昇すると見込まれ、汚染水があふれ出ることが懸念されています。

このため、東京電力は、汚染水が雨で増えないよう、建屋の入り口の周りに土のうを積むなどして、雨水が入り込むのを抑えようとしていますが、爆発で屋根のない建屋などから雨水が入り込むのを防ぐのは難しいのが現状です。

一方、汚染水の課題解決の鍵を握る浄化設備はトラブルが相次いでいて、本格運転の開始前の試験運転はあと2日程度かかる見通しです。このため、東京電力は、汚染水を僅かでも減らそうと、21日から原子炉への注水量を、号機ごとに1時間当たり0.5トンから1.5トン少なくするなど対策を重ねていて、汚染水があふれ出るのを食い止めようとしています。