大阪市西成区・あいりん地区の60歳代の男性労働者2人が、宮城県でダンプカー運転手として働くとの求人に応募したところ、実際には福島県の東京電力福島第一原子力発電所敷地内などで働かされていたことが9日分かった。
求人の際に労働条件を明示するよう定めた職業安定法に違反している疑いがあり、大阪労働局が調査に乗り出した。
仕事を紹介した財団法人「西成労働福祉センター」によると、岐阜県大垣市の建設業者から3月17日に「宮城県女川町で10トンダンプの運転手、日当1万2000円で30日間」と求人があり、2人に紹介した。2人は採用されたが、同月24日、1人から同センターに「原発が見える場所で作業をしている。求人と条件が違う」と苦情の電話があったという。1人は5、6号機の外で防護服を着てタンクから水を運ぶ仕事に4月21日まで従事。求人条件の2倍ほどの約60万円の報酬を得たという。もう1人は原発敷地外でタンクローリーで水を運ぶ作業をしていた。
(2011年5月9日12時44分 読売新聞)
「運転手」のはずが「原発で作業」
求人票では宮城でトラック運転手の仕事、しかし実際の仕事は福島第一原発での給水作業でした。募集した業者はJNNの取材対して、「単純ミスだった」と話しています。
「現場が違う。福島第一原発の近くで作業をしている」。こう電話で相談してきたのは60歳代の男性。
この男性は大阪・西成区のあいりん地区にある労働福祉センターで、とある紹介票を目にしました。就業場所は宮城県女川町。業務内容は10トントラックの運転手で、日当1万2000円、期間は30日となっています。それは、3月17日に岐阜県大垣市の土木業者から出された求人でした。
60歳代の男性2人が採用されましたが、1週間後の3月24日、女川町に向かったはずの1人から仲介したセンターに相談の連絡が入ったのです。
「就労現場が 『原発が見えるところから作業している』と・・・」(労働福祉センターの会見)
男性は何の説明も受けないまま、女川町ではなく福島第一原発に連れて行かれたというのです。結局、男性は業務の変更を承諾し、福島第一原発の敷地内で原子炉などを冷やすための給水車に水を移し替える作業にあたったといいます。
「就労先が『女川』から『福島』になるというのはあり得ない。想定もできなかった」(労働福祉センターの会見)
支払われた日当は当初提示されていた1万2000円ではなく、原発の敷地内なら2万4000円。少し離れたところで1万8000円などに増額されたといいます。今回の件について求人を行った業者の社長は・・・。
「女川っていうのは現場だとずっと思い込んでいた。ダイコン売っているのにネギだよって言えないですからね。そんなことは今までしたことがないし、働く者をだましたことはないですよ」(求人をした業者の社長)
単純ミスだと話す業者の社長。求人票が掲示されたあいりん地区は、日雇い労働者が仕事を求めて多く集まる場所です。震災以降、原発関連の仕事が増えているといいます。
「(Q.実際に話はある?)ある。知り合いから『行かへんか東北に』と。かなり単価がいいので、危険な仕事させられるのは覚悟で行く」
「行った以上は帰りの交通費がないから、しかたなしに働く。そういうところの足元を見てから連れて行く」(西成区の労働者)
大阪労働局は今回の事案について、職業安定法違反の疑いも視野に関係者から引き続き事情を聴いています。(09日23:11)
業者「別の場所誤って伝えた」 職安法抵触の恐れも
宮城県女川町での仕事に応募した大阪市の60代男性が福島第1原発で働かされていた問題で、男性を雇った岐阜県大垣市の業者は9日「(元請けから依頼があったのは原発での作業だったが)混乱の中で女川町の現場を伝えてしまった」と説明、「非常に申し訳ない」と釈明した。
下請け業者は北陸工機。男性社長が共同通信の取材に答えた。
うその労働条件を提示して労働者を集めたり、契約を結んだりするのは職業安定法や労働基準法に抵触する恐れがあり、大阪労働局が調査している。
これまでは北陸工機側が「元請けから『現場は女川』と言われた」と主張していたのに対し、愛知県の元請け業者は「『福島第1原発で散水車の運転手』と下請けに業務内容を伝えた」と反論していた。
西成労働福祉センター(大阪市)の聞き取り調査によると、男性は3月19日に大阪を出発し、岐阜県で元請け業者と合流。大型トラックに先導されながら作業用車両を運転し、東北へ向かった。女川町に行くと思っていたが、特段の説明がないまま原発事故の対応拠点「Jヴィレッジ」(福島県広野町など)に到着した。この時点で、原発敷地内での作業に従事することに初めて気付いたという。
男性は、センターに「何の説明もなく福島に連れて行かれた。おかしいと思ったが(業者側に)物を言えるような雰囲気ではなかった」と話した。
2011/05/09 19:15 【共同通信】
ウソ求人で原発派遣の労働者、3日間線量計なしで活動
大阪市西成区のあいりん地区で、宮城県女川町での運転手の仕事に応募した大阪市の60代男性が福島第1原発で働かされていた問題で、西成労働福祉センターは9日、男性と業者に聞き取り調査し、男性が原発敷地内で約2週間、防護服を着用して給水作業に従事していたと明らかにした。男性は「4日目にやっと線量計が配られた」などと話している。一方、募集した業者は、混乱の中で誤った仕事内容を伝えたと釈明している。
「宮城県女川町、10トンダンプ運転手、日当1万2000円、30日間」―。この求人情報に応募した男性は、防護服と防じんマスクを着用させられ、福島第1原発の敷地内へと放り込まれていた。
同センターによると、男性は3月19日に大阪を出発。岐阜県で元請け業者と合流後、特に説明がないまま原発事故の対応拠点「Jヴィレッジ」(福島県広野町など)に到着。この時点で初めて、原発敷地内で作業することに気付いたという。
同20日からの作業は1日約6時間。原発5、6号機冷却のため、給水タンクにホースやポンプを設けて給水車に水を移し替える内容だった。男性によると「4日目にやっと線量計が配られた」。放射線の情報や健康被害に関する説明は乏しく「精神的ストレスで心臓がパクパクする感じ。長生きなどいろんなことを諦めた」と振り返った。その後計測した被ばく線量は基準値以下だった。
男性を雇った業者「北陸工機」(岐阜県大垣市)は東京電力の3次下請け。当初、「元請けの建設業者から『現場は女川』と言われ、大阪で募集した」と主張したが、9日になって「(元請けから依頼があったのは福島第1原発での作業だったが)混乱の中で(誤って)女川町の現場を伝えてしまった」と釈明した。一方、愛知県の元請け業者は「“福島第1原発付近で散水車の運転手”と業務内容を伝えたが、原発敷地内の作業とは言っていなかった」と話している。うその労働条件を提示して労働者を集めたり契約を結んだりするのは職業安定法や労働基準法に抵触する恐れがあり、大阪労働局が調査している。
原発の現場では4月中旬ごろから「原発建屋内なら(募集時の賃金の)3倍」「退避区域なら1・5倍」など、“危険手当”ともいえる作業員の賃金体系を業者ごとに設定。男性も最大で募集時の条件の倍に当たる日当約2万4000円を受け取ったが「おかしいと思ったが物を言える雰囲気ではなかった。賃金も仕事に見合っていない」と話した。
(2011年5月10日06時02分 スポーツ報知)
偽りの求人 4日間線量計なし…原発作業男性「被曝しているか不安」
大阪市西成区・あいりん地区の男性労働者2人が求人内容と異なり、福島県の福島第一原子力発電所敷地内などで就労した問題で、5、6号機近くで給水作業にあたった男性(62)が読売新聞の取材に応じた。男性は最初の4日間は線量計もないまま防護服を着て作業、当初示された日当も他の作業員よりかなり少なかったといい、「だまされた気分だ」と憤った。
男性によると、「宮城県女川町で10トンダンプの運転手」とする岐阜県大垣市の建設会社「北陸工機」の求人に応募。愛知県愛西市の元請け建設会社「日起建設」の案内で3月20日朝、原発事故に対応する作業員の活動拠点「Jヴィレッジ」(福島県広野町、楢葉町)に到着した。すぐ原発敷地内に連れて行かれ、防護服で作業準備などを始めた。
「女川じゃない。話が違う」と日起の社員に訴えたところ、「帰ってくれていいぞ」と言われたが、車もなく、帰りようがないため、働くことにしたという。
日当は、下請けの北陸工機側から支給額1万円を2000円増額すると持ちかけられた。日当の交渉を続けながら、北海道や秋田県から来た作業員3人と停止中の5、6号機付近で、タンクローリーの水を貯水タンク内に注入する作業を続けた。2人1組となり、6時間交代で発電機を回すなどしたという。作業中は食事をとれず、トイレに行くことも出来なかった。危険性の説明もなかった。同24日に線量計を渡されたが、「どれだけ被曝(ひばく)しているのか不安で仕方なかった」と話す。
4月4日まで敷地内で、その後21日までは敷地外で働き、結局、募集時の倍の約60万円支払われたが、男性は「福島県での仕事と聞けば、もう少し考えた。不安な中で作業させられ、だまされた気分」と語った。
「行き違いだった」元請け代理人
元請けの日起建設の代理人弁護士は読売新聞の取材に対し、「北陸工機には、原発近くで働く作業員を確保してほしいと依頼した」と説明。日起本社から出発する際、作業員には「Jヴィレッジに向かう」と伝えたといい、「福島原発と明言しなかったかもしれないが、作業内容は了解済みだと思っていた。だましたわけではなく、行き違いだった」としている。
(2011年5月10日 読売新聞)
水谷元会長宅も捜索 日起建設の助成金詐欺
土木建築会社「日起建設」の助成金不正受給事件で、東京地検特捜部は13日、詐欺容疑で重機械土木大手「水谷建設」の水谷功元会長(60)の三重県桑名市にある自宅を家宅捜索した。また日起建設の本店兼研修施設(愛知県愛西市)や水谷建設本社(桑名市)の捜索は午後も続行した。 水谷元会長は日起建設の会長も務めていたが、今年6月に同社取締役を辞任した。水谷建設は日起建設の大株主だったとされ、特捜部は関与を追及する。 関係者によると、独立行政法人の雇用・能力開発機構(横浜市)の「建設教育訓練助成金」を不正受給した疑いが持たれているのは、日起建設の本店兼研修施設で、2003年2月に愛知県から従業員らの職業訓練施設として認定を受け、同機構から建設費の半額に当たる助成金約1億5000万円を受給した。 しかし、実際には施設の実態が認定基準に合わず、助成金の申請内容も事実と異なっていたとされる。 2005/12/13 09:47 【共同通信】
「脱税事件で服役の間に、川村氏は距離を置くようになったし、水谷建設は復帰を許さなかった。『会社の為にやってきたことなのに』と、怒り心頭。現在、愛西市の日起建設というところで再起を図っているが、会社も川村も許すつもりはない」
小沢一郎公判"ねじれ"の原因となった「水谷兄弟」の骨肉の争い 「渡せと指示したが渡したかはわからない」と証言が揺れ始めた | 伊藤博敏「ニュースの深層」 | 現代ビジネス [講談社] via kwout