2011年5月12日 01時46分
福島第1原発3号機から11日、高濃度の放射線で汚染された水が海に流出していることが分かり、ほぼ同じ状況で流出した2号機の二の舞いとなった。国と東電の対策統合本部の細野豪志首相補佐官は「努力したが防げなかった」と残念がったが、東電が4月20日を最後に、関連施設の点検を怠っていたことも判明した。
今回の汚染水は3号機タービン建屋から地中のトンネルを通じて流れ出たとみられている。東電はルート中、最も海に近い各号機の立て坑を目視し、水が流れ出ていないか確認する作業を続けていた。
しかし、点検は4月20日で打ち切りに。しかも、3号機の立て坑は開口部にがれきが積み重なった状態で、11日に取り除くまでそもそも目視確認を一度もしていなかったことも分かった。
3号機ではタービン建屋内やほかの立て坑で水位上昇が確認され、水があふれないか心配されていた。その一方で8日午後からは、炉心冷却に向けた作業の一環で、復水器内にたまった水をタービン建屋内に放出していた。
東電の松本純一原子力・立地本部長代理は11日夜の会見で「こういった事態を招き申し訳ない。3号機の汚染水を移送する計画を再検討したい」と流出対策に不備があったことを認め、謝罪した。
(中日新聞)
3号機汚染水 海への流出確認
5月12日 4時55分
東京電力福島第一原子力発電所3号機で、11日、取水口付近から高濃度の汚染水が海に流出しているのが見つかりました。ピットと呼ばれる作業用の穴を埋めたところ、流出は止まりましたが、いつから、どのように漏れ出たのか分かっておらず、東京電力でほかに海に流出する可能性がある場所はないか確認を急いでいます。
11日午前10時半ごろ、福島第一原発3号機の取水口付近にある電線を通す管とつながるピットと呼ばれる作業用の穴に水が流れ込んでいるのを作業員が見つけました。
東京電力では海への流出がないか調べるため、棒の先につけたカメラを使って、近くの岸壁を撮影したところ、ピットの壁から水が海に流出しているのを確認したということです。東京電力によりますと、ピットの水からはセシウム134が1cc当たり国の基準の62万倍に当たる3万7000ベクレル検出され、近くの海に設置された特殊なフェンスの内側からも、基準の3万2000倍のセシウム134が検出されたということです。
このため、東京電力は水が流れ出ていた管の出口を特殊な布で塞ぐとともに、ピットをコンクリートで埋める工事を行った結果、海への水の流出は止まったということです。
東京電力によりますと、3号機ではタービン建屋の中の水位が、10日ごろからやや下がっていたということで、タービン建屋にたまった水がトンネルなどを通じて漏れ出た可能性もあるとみて調べています。
福島第一原発では、先月にも2号機の同じような場所で、汚染水の海への流出が確認されていて、東京電力はピットを塞ぐ作業を進めていました。しかし、今回見つかった3号機付近は、高い放射線量を出すがれきなどがあって、点検ができていなかったということで、いつから、どのように漏れ出たのか分かっておらず、東京電力で、ほかに海に流出する可能性がある場所はないか確認を急いでいます。
汚染水 3日前には懸念水準に
5月12日 12時18分
東京電力福島第一原子力発電所の3号機の取水口付近で、高濃度の汚染水が海に流出しているのが、11日、見つかった問題で、流出元とみられるタービン建屋の地下では、汚染水の水位が8日ごろから流出が懸念される水準まで上がっていたことが分かり、東京電力の対応が改めて問われそうです。
11日午前、福島第一原発の3号機の取水口付近で、「ピット」と呼ばれる作業用の穴から水が海に流出しているのが見つかり、ピットをコンクリートで埋めて流出は止まりましたが、水からは国の基準の62万倍という高い濃度の放射性のセシウムが検出されました。
ピットの中では、電線を通す管の出口から汚染水が流れ出ていましたが、流出元とみられる3号機のタービン建屋の地下では、汚染水の水位が、8日ごろからこの出口と同じ高さ、つまり流出が懸念される水準まで上がっていたことが分かりました。
流出が始まった時期は今のところ分かっておらず、東京電力は「汚染水の管理が十分だったか、今後、検証したい」としていますが、流出を未然に防ぐことができなかったのか、対応が改めて問われそうです。東京電力は、タービン建屋の地下にたまった汚染水を一時的な保管先に移す作業を近く始めたいとしていて、ほかの場所でも流出のおそれがないか、確認を急いでいます。