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2011/01/25

この日、エジプトで別の男性2人も焼身自殺を図ったほか、サウジアラビアでも男性が焼身自殺。アルジェリアでもこれまでに少なくとも7人が、モーリタニアでも1人が焼身自殺を図った

チュニジアの革命、我が国でも 中東圏相次ぐ反政府デモ
2011年1月25日2時23分



 【チュニス=貫洞欣寛】 失業問題などに抗議する青年の焼身自殺をきっかけに、ベンアリ前大統領の強権支配を覆す市民デモが起きたチュニジアに続こうと、中東や北アフリカで市民による反政府デモが相次いでいる。チュニジアのケースに触発されたとみられる焼身自殺も相次ぎ、当局は体制を揺るがす事態にならないか警戒を強めている。

 チュニジアの隣国アルジェリアでは22日、民主化とブーテフリカ大統領の退陣を求めるデモが起き、警官隊との衝突でデモ参加者ら40人以上がけがをした。イエメンでも同日、首都サヌアの大学構内で学生ら約2500人がサレハ大統領の退陣を求め、「アリ(サレハ大統領の名)、友達のベンアリと一緒に去れ」と叫んだ。

 ヨルダンでは21日、数千人がデモをして物価高などに抗議し、内閣総辞職を要求。エジプトでは、市民グループなどが「25日の警察記念日にデモをしよう」「チュニジアに続け」などとネット上で呼びかけている。チュニジアでは23日も、暫定政権からの旧与党系閣僚全員の退陣を求めるデモが続いている。

 中東・北アフリカ地域は1次産業や観光業以外の産業が乏しい一方で人口が増え、若者の失業が深刻。富の分配が不平等で貧富の差が開き、インフレも進んでいる。また政権の長期化や腐敗、言論の自由の欠如といった問題も共通している。それだけに、23年続いた強権支配を平和的なデモで倒したチュニジアのケースに、この地域の多くの市民が共感を抱いている。

 焼身自殺も相次ぎ、未遂を含めると10件を超えた。カイロでは21日、35歳の男性が路上でガソリンをかぶって火をつけ、大やけどを負った。エジプト紙などによると、男性は結婚資金をためるために地方から出てきたものの、低賃金の日雇い仕事しか見つからず絶望したという。

 この日、エジプトで別の男性2人も焼身自殺を図ったほか、サウジアラビアでも男性が焼身自殺。アルジェリアでもこれまでに少なくとも7人が、モーリタニアでも1人が焼身自殺を図った。

 イスラム教では自殺が禁じられており、イスラム教徒が自殺を選ぶのはまれだ。このため、焼身自殺した青年への同情からデモが始まったチュニジアのケースに触発された可能性が高い。

 エジプトでは、チュニジアの政変後に焼身自殺が相次いだことを受け、政府が食料品への補助金の増額を決めたほか、各モスクに礼拝でイスラム教が自殺を禁じていることを改めて説くよう要請するなど、懸命に「飛び火」を防ごうとしている。

 だが、市民の間には不満がたまっており、各国の政府が抑え込めるかどうか予断を許さない状況だ。