11月に顔を殴られて大けがを負った歌舞伎俳優の市川海老蔵(33)が28日、都内で事件後2度目の会見を開き、元暴走族リーダーらと急転、示談が成立したことを明らかにした。
暴行された相手でこの日、傷害罪で起訴された元暴走族メンバーの伊藤リオン被告(27)と、元リーダーの双方と事態の収束を図ったもので、慰謝料など金銭のやりとりはなかった。示談書には元リーダーがケガを負っていたことが明記されたが、原因は究明しないとも併記された。これまで示談には応じない姿勢を強調していた海老蔵だが結局、事件当時の暴行のきっかけを明かさない灰色決着で“手打ち”とした。
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7日の会見と同じ黒スーツ姿で登場した海老蔵は「私の社会的責任感のなさや、日ごろの酒癖の悪さに要因があった。深く反省している」と深々と頭を下げた。それでも、声を張り早口でしゃべる海老蔵節も復活。質問者を眼光鋭く見つめる“にらみ”も披露した。
1時間にわたる会見は、同席した深沢直之弁護士が、伊藤被告と元リーダーそれぞれに交わした2通の示談書全文を読み上げる形でスタート。事件の“後遺症”を残さないために、透明性を必死にアピールした。
示談は22日、元リーダー代理人から示談書が届き、24日に成立していた。当初は“完全な被害者”を主張し、水面下での交渉なども否定していた。しかし、23日に父・市川團十郎の運転する車で麻央夫人と出かけるなど、示談に向けた動きをうかがわせていた海老蔵は「悩んだが、これ以上やったやらないということを続けたら、たくさんの人に迷惑がかかる」と思いを吐露した。
この日、起訴された伊藤被告には、早期の社会復帰を望み、公判請求を望まないことを上申するとした。負傷していた元リーダーには、海老蔵が「酒席でのトラブルと認め、深く反省する」とし、元リーダーは被害届を出さないことで同意。最大の争点となっていた「海老蔵は加害者だったのか」に関しては、詳細を明かすことなく、灰色のまま収束を図った。
しかし、集まった300人の報道陣からは、この点に質問が集中。海老蔵は「自分が暴力をふるった記憶はないが客観的に証明できない」と明確な答えを最後まで避けた。
事件は一応の決着をみた。しかし、負傷した顔面にはまひやしびれが残り「医師からは“まひが消えると断言はできない。祈りましょう”と言われた」と明かし、会見前には、「医師の診断によりフラッシュ撮影禁止」も言い渡されていた。
今後復帰の道を探る海老蔵は、5月に大阪松竹座で行われる「団菊祭」での復帰が有力とされるが「謹慎期間など、私から言える立場にない」と言葉をにごしていた。
(2010年12月29日)
【元暴走族リーダーとの示談書】
11月に顔を殴られて大けがを負った歌舞伎俳優の市川海老蔵(33)が28日、都内で事件後2度目の会見を開き、元暴走族リーダーらと急転、示談が成立したことを明らかにした。暴行された相手でこの日、傷害罪で起訴された元暴走族メンバーの伊藤リオン被告(27)と、元リーダーの双方と事態の収束を図ったもので、慰謝料など金銭のやりとりはなかった。
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海老蔵と元暴走族リーダーは平成22年11月25日午前3時から6時ごろにおける東京都港区のビルで、元暴走族リーダーが傷害を負った件で以下のように示談した。
1、海老蔵は、元暴走族リーダーに対し、元暴走族リーダーとの酒席での振る舞いが、海老蔵と元暴走族リーダー間のトラブルの一因となったことを認め、真摯に反省し、深く陳謝する。
2、元暴走族リーダーは上記、日時場所で傷害を負った、その原因究明は行わず、捜査機関に対し被害届は提出しないこととし、何人に対しても損害賠償請求はしない。
3、元暴走族リーダーと海老蔵は、当事者および関係者ら、当事者同士、または家族、職場、その他の関係者に対して、今後、手紙、家電、訪問等、いかなる手段でも連絡、接触しないことを約するとともに、相互に誹謗中傷を行わないものとする。
4、海老蔵と元暴走族リーダーは、本示談成立により、海老蔵と元暴走族リーダー間の問題は一切解決済みとし、相互に何らの債権・債務も存しないことを確認する。本示談成立の確証として、本示談書を2通、作成し、海老蔵と元暴走族リーダー各1通を保有する。
(2010年12月29日)