2010.12.24 10:00
市川海老蔵に暴行を加えたとして12月16日に逮捕された伊藤リオン容疑者(27)は、10年前、ある傷害致死事件に関与していた。
2000年5月、東京・大田区内のボウリング場近くで、友人らと談笑していたAさん(当時18才)ら少年5人が突然暴走族23人に襲われた。このとき、Aさんの拉致に使われた車が三田佳子(69)の次男の車だったこともあり、当時大きな話題となった。
きっかけは、敵対する暴走族グループに、車を壊されたことへの報復だった。まったくの人違いで襲われたAさんたちは、金属バットなどで殴られ、重軽傷を負った。Aさんは約1時間半拉致されたあと解放されたが、脳挫傷でまもなく死亡。リオン容疑者は、23人のうちのひとりで当時17才。名前も顔も明かされなかったが、傷害致死容疑で逮捕されている。
※女性セブン2011年1月6・13日号
リオン被告ら暴走族OBの実態把握困難
11月に顔を殴られて大けがを負った歌舞伎俳優の市川海老蔵(33)が28日、都内で事件後2度目の会見を開き、元暴走族リーダーらと急転、示談が成立したことを明らかにした。暴行された相手でこの日、傷害罪で起訴された元暴走族メンバーの伊藤リオン被告(27)と、元リーダーの双方と事態の収束を図ったもので、慰謝料など金銭のやりとりはなかった。
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海老蔵殴打事件で起訴された伊藤被告は以前、都内の暴走族に所属していた。今もOBは六本木や西麻布周辺で活動し、一部メンバーの暴力事件への関与が取りざたされたこともある。多くが暴力団には属さず、暴力団対策法の適用対象にならないことから、警察当局も組織形態や実態を把握しきれていないのが実情だ。
捜査関係者によると、伊藤被告が所属していたグループは、約10年前には50人程度の勢力を持ち、世田谷区や杉並区を拠点に活動していた。現在は暴走族としての活動実態はないが、OBらのつながりが強く、飲食店などの経営に携わる一方、たびたびトラブルも。
2008年3月に新宿で、10年3月に国分寺市で発覚した殺人事件では、警視庁の捜査で、いずれも背景にOBを含むグループ間の対立があるとの見方が浮上した。
警視庁は、暴力団に対しては組織犯罪対策部が構成員の数を把握し、常に動静も監視。あいさつ料徴収などの違法行為があれば暴対法に基づき積極的に摘発する。
だが暴走族については、未成年メンバーの事件は少年事件課などが担当するものの、成人になったOBグループ自体を管轄する部署はないため、組織的な対応が取りきれない状況になっている。
同庁幹部は「事件を未然に防ぐためにも、OBグループを継続的に監視し、専門に捜査する部署が必要」と指摘。組対部内に専属の担当者を置くことも検討している。
(2010年12月29日)