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2010/12/04

IAEA理事会、核燃料バンク設立を合意

核燃バンクを設立へ IAEA、中立的供給を保証
2010年12月4日 朝刊

 【ウィーン=弓削雅人】ウィーンで開かれている国際原子力機関(IAEA)の定例理事会は最終日の三日、IAEA主導で原子力発電に使用する低濃縮ウランを提供する「核燃料バンク」設立決議案の協議に入った。欧州外交筋によると、合意する見通しだ。

 米国や日本などが提出した設立決議案によると、「核燃料バンク」は、IAEA加盟国への濃縮度約5%までの核燃料供給が、紛争による輸送ルートの途絶などでストップし、国際市場での購入も不可能な場合に、市場価格での供給を保証するのが目的。原発導入を目指す国には燃料の安定確保と資金負担の軽減が図れるという。



 核燃料バンクはすでに「ロシア版」が国営企業ロスアトムにより東シベリアに設立され、ウラン貯蔵国にはカザフスタンが名乗りをあげている。

 しかし欧州外交筋によれば、加盟国の中には供給に際し、政治的判断が関与するのではとの警戒感があり、IAEAの「核燃料バンク」は中立的な供給を保証する。日本は今後、燃料の製造段階まで国際管理の仕組みを広げたい立場だ。

 「バンク」本来の設立目的は、兵器転用できない低濃縮ウランを提供し、供給を受ける核技術の未保有国が濃縮や再処理の技術獲得を断念することで核不拡散を図ることだ。

 しかし、途上国側は「原子力技術の新たな取得を制限し、先進国が独占しようとするもの」と反発。最終的に、「独自に核開発を行う権利は侵害されない」と設立案で明記された。

 また理事会では、途上国側から「IAEAが巨額の資金関与をするのは適当か疑問」などと「バンク」に懐疑的な意見が出されるとの指摘があり、設立後に順調に運営できるかは不透明だとの見方もある。






ロシアの声 4.12.2010, 11:16
IAEA理事会 核燃料バンク設立で合意 
 国際原子力機関(IAEA)の定例理事会は3日、IAEAの主導で原子力発電所用の低濃縮ウランの「核燃料バンク」を設立するとの決議を採択した。
 何らかの「非常事態」によって独自に核燃料を確保できなくなった国に、IAEAが管理する低濃縮ウランを市場価格で供給することを目的としたもの。 「核燃料バンク」はカザフスタンに設置されるものと見られている。

 一方、今週ロシアの国営原子力企業ロスアトムは、世界初となる「核燃料バンク」を東部のアンガルスクに設立したと発表した。IAEAの管理の下、核燃料を製造する技術を有さない新興国に供給する。

http://japanese.ruvr.ru/2010/12/04/36217077.html