福島県浪江町の砕石を使った同県二本松市の新築賃貸マンションから高放射線量が検出された問題で、県が発注した工事11カ所でも問題の砕石が使われていたことが19日、県の調べで分かった。このうち本宮市の五百川の河川護岸工事1カ所で周囲(毎時0.3~0.4マイクロシーベルト)より高い1マイクロシーベルトを検出した。県は川の流水部の護岸のため、人への影響は少ないとみている。
他の工事は道路8カ所、河川1カ所、県営住宅1カ所で、いずれも周囲より高い線量は検出されなかった。
また、アパート建設大手の大東建託(本社・東京都港区)が福島県内で建設した木造2階建て賃貸アパート9棟でも使われていた。同社によると、建物の基礎や舗装用コンクリートに使用。建物内外で放射線量を測定したところ、周辺とほぼ同じ値だったという。
同社は震災以降に県内で新築した109棟の賃貸アパートを調査した。9棟の所在地は明らかにしていない。
一方、この砕石を材料にした生コンクリートの販売記録が一部ないことが判明。業界組合は新聞広告や折り込みチラシなどで、購入した可能性のある県内の事業者や個人に連絡を求めることを決めた。
福島県北生コンクリート協同組合によると、問題の砕石を使い二本松市と本宮市の生コン2社から販売されたのは約2000立方メートルで、約200社が建設や土木工事に使った。一部は伝票を書かずに事業主や個人に売っており、購入者を追跡できないという。【乾達、鈴木梢】
毎日新聞 2012年1月19日 11時45分(最終更新 1月19日 14時04分)
汚染石、福島県内1000カ所で使用か
福島県浪江町の砕石場で放射性物質に汚染されたとみられる石がマンションなどに使われた問題で、この砕石場の石やコンクリートが県内千カ所近くの工事現場で使われていた可能性のあることが18日、経済産業省への取材で分かった。
経産省が流通ルートを調べているが、少量販売の場合、建設会社の間で伝票などの記録を残さずに取引していたケースもあるといい、流通範囲の特定は難航している。
また、浪江町の砕石場から出荷された石が、同県二本松市内にある民家の庭先の敷き砂利として使われたことが新たに判明、ゴルフ場に出荷されたことも分かった。
これまでに二本松市の小学校の耐震補強工事や通学路、同県川俣町の町道などでの使用が確認されている。
二本松市は昨年3月の原発事故以降、市内であった道路や学校など公共工事の現場約160カ所で放射線の測定を進めているが、18日現在、高い放射線量の場所はないという。
砕石の流通に詳しい、日本砕石協会福島県支部の松浦純夫事務局長は「石は重く、輸送費がかかるため地産地消が多い。遠方には流通していないのではないか」と話している。(共同)
[2012年1月18日18時31分]
浪江の砕石入り生コン、学校など500か所に
福島県二本松市のマンションで使用されていたコンクリートを製造した生コン会社(二本松市)のコンクリートは、学校や工事現場など約500か所で使われていたことが17日、経済産業省への取材でわかった。
同省は使用状況などを特定し、学校など人が集まる場所で使われたケースを優先して線量を調べる。
二本松市の生コン会社は、浪江町の採石場から約1070トンの砕石を3月25日~4月22日に仕入れた。約150社の取引先を通じてコンクリートとして出荷し、住宅やバス停、オフィスビルなどにも使われたという。同省は、約920トンの砕石を仕入れた本宮市の生コン会社も、少なくとも約70社の取引先を通じてコンクリートを出荷し、数百か所の現場で使われたとみている。一方、国と福島県は17日、浪江町の採石場も含め、計画的避難区域と特定避難勧奨地点の周辺にある採石場計17か所の出荷状況を調べることを決めた。
(2012年1月18日11時00分 読売新聞)