2011年05月10日
●専門家の助言を受け処理へ
放射性物質が降り注いだ校庭の表土について、校庭に穴を掘り、埋めて処理すると二本松市、本宮市、大玉村の3市村が決めた。放射線防護学が専門の野口邦和・日本大学専任講師の助言を得て、新たな方式を採用することにしたという。
計画では、保育所・幼稚園は3市村の全施設で実施。小中学校は、年間の被曝(ひばく)線量が10ミリシーベルトを超えないよう、毎時1.9マイクロシーベルト以上とし、二本松市の小学校1校を除くすべての学校が該当した。同市はこの1校も含め、全校で実施することとした。
記者会見した同市の三保恵一市長は「国の方針を待つよりも、まず、子どもたちの安全確保が最優先だった」と話した。大玉村の浅和定次村長は「文部科学省の上下入れ替え方式より説得力がある。国の基準の毎時3.8マイクロシーベルトは高すぎ、子どもの安全は守れないと判断した」とした。
本宮市の高松義行市長は「除去後の土をどうするかが大きな課題。(表土の最終的な処分は)国や東京電力に、強く除去を求めていく」と話した。
東日本大震災:校庭表土除去で新方式 二本松など3市村、一角に埋没 /福島
二本松、本宮、大玉の2市1村は9日、原発事故に伴う校庭などの土壌対策会議で、除去した表土を校庭の一角に埋め、新しい土をかぶせる方法を採用すると決めた。三保恵一・二本松市長によると、福島市で試みられた表土と下層の土を入れ替えるのとは異なる方法で、5月中に完了する計画という。
3市村は放射線に対する子供の健康への影響を憂慮。小中学校などでの子供の屋外活動を制限する放射線量について、国の基準の半分に当たる「年間10ミリシーベルト」(毎時1・9マイクロシーベルト)と独自に設定した。
3市村の全89小中学校や幼保育所の校庭などで実施する。方法は表面の3~5センチを除去し、取り除いた土は校庭や園庭の一角に穴を掘り、遮へいシートで包んだ上に新しい土を1メートル盛るという。4月の文部科学省の調査では3市村で最も値が高かったのは、本宮市立和田小の5・4マイクロシーベルトだった。現在、3市村では校庭や園庭への立ち入りを制限している。三保市長は「費用は国や東電に要請していきたい」と話した。【長田舞子】
毎日新聞 2011年5月10日 地方版