福島第1原発事故で、東京電力は11日、3号機の取水口付近で、コンクリート製立て坑「ピット」に放射能で汚染された水が流入しているのが見つかったと発表した。取水口付近の海水の放射能濃度が上がっており、水が海へ流出したという。
東電によると、同日午前10時半ごろ、周辺の工事に向かった作業員が水の流れる音に気付き、ケーブルの通る管から水が漏れ、深さ2.3メートルのピットに流入しているのが判明した。東電は午後6時45分ごろ、ケーブルを切断した上で、ピットをコンクリートでふさぐなどして、水の流入と海への流出を止めた。
取水口前の海には水中カーテン「シルトフェンス」が設置されており、フェンス内の海水の放射能濃度は1立方センチ当たり4090ベクレル。フェンス外側の海水の濃度は同2296ベクレルだった。これまでの周辺の海水濃度は数ベクレル程度で、相当高いという。
ピット内の水の放射能濃度は同7万9400ベクレルで、このうち、セシウム134は同3万7000ベクレルと、国の濃度限度の62万倍だった。(2011/05/11-20:32)
http://www.jiji.com/jc/c?g=soc&rel=j7&k=2011051100645&j4
3号機取水口付近 高濃度汚染水流出
福島第一原発では11日、高濃度の汚染水が海へ流出していたことがわかりました。流出は発覚後、およそ7時間で止められましたが、東京電力は流出対策に不十分な点があったと謝罪しました。
海への汚染水の流出があったのは3号機の取水口に近いたて穴からで、東京電力が流出を発見した後、近くの海水を調べたところ、濃度限度の62万倍の放射性セシウムが検出されました。タービン建屋の地下やトレンチにたまっていた汚染水がたて穴に流れ込んだとみられています。
先月2日に2号機で高濃度の汚染水が海へ流出していたのに続く事態で、東京電力は、2号機の流出対策を優先していたたため、今回の事態を招いたと謝罪しました。
1号機から4号機の取水口のある防波堤の内側の海水の汚染度が高まっていますが、東京電力は、今月下旬にも海水を浄化する装置を設置する方針で、海への流出対策を再検討するとしています。(12日02:13)
3号機の高濃度汚染水流出 海水に1万8千倍セシウム
2011年5月11日20時38分
東京電力は11日夕、福島第一原子力発電所3号機で取水口付近の汚染水を防ぐために設置されたシルトフェンスの外側の海水から、海洋に排出できる国の基準の濃度の約1万8千倍のセシウム134を検出したと発表した。2号機から高濃度汚染水が流出したことがあるが、3号機で確認されたのは初めて。東電は応急の流出防止策を講じた。
東電によると、11日午前10時半ごろ、作業員が3号機の坑道とつながっている作業用の穴(ピット)で、電線を通している空洞部分から高濃度の放射能汚染水が流れ出ているのを確認した。ピットの海側部分にひび割れがあり、海に漏れていた。東電は空洞をコンクリートでふさぎ、午後6時45分に水の流出を止めた。
3号機取水口のシルトフェンス外側の海水は、ヨウ素131も1立方センチあたり96ベクレルで基準の2400倍だった。フェンス内側の海水はヨウ素131が同190ベクレルで約4800倍、セシウム134は同1900ベクレルで約3万2千倍だった。ピット内は、ヨウ素131が同3400ベクレルで8万5千倍、セシウム134は同3万7千ベクレルで62万倍だった。
3号機のタービン建屋地下には、高濃度の放射能汚染水がたまっている。東電はその汚染水が流れ込んだとみている。東電原子力・立地本部の松本純一本部長代理は「汚染水の流出はフェンスである程度は抑えられるが、完全ではない。最悪の場合は海へ流れ出る可能性もある」としている。
東電は同日午後、福島県や周辺市町村、近くの漁協に水漏れの事態について連絡。さらに、政府も米国や周辺諸国、その他の国の在外公館に連絡した。
2号機の取水口で漏れが見つかった時は、ヨウ素131が30万ベクレルで国の基準の750万倍、セシウム134が12万ベクレルで200万倍だった。2号機の流出後、東電は取水口の周囲などをフェンスで覆ったが、今月10日現在、2号機のフェンスの外側ではヨウ素131は1立方センチあたり2.1ベクレル、セシウム134が同1.3ベクレルまで下がっている。
政府・東電統合対策室事務局長の細野豪志首相補佐官は「今回同じような水漏れが起きたことは、極めて重大な問題と感じている」と話す。(坪谷英紀)