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2011/05/15

救急隊員の安全確保のため、県災害対策本部と消防、東電の3者は原発事故後、約20キロ南の拠点施設ナショナルトレーニングセンター「Jヴィレッジ」(楢葉町)で受け渡すよう取り決めている。

【原発】作業員死亡、救急搬送2時間かかってた(05/15 17:36)












東日本大震災:福島第1原発事故 作業員死亡 搬送に2時間 心筋梗塞で死亡か
 東京電力福島第1原発で14日、集中廃棄物処理施設で作業していた60代の男性作業員が死亡した問題で、男性が体調不良を訴えてから病院に着くまでに2時間以上かかっていたことが分かった。救急車に乗せるには警戒区域(半径20キロ圏内)外まで出る必要があるためだ。過酷な作業環境で危険にさらされていると指摘される原発作業員を取り巻く救急体制の脆弱(ぜいじゃく)さが浮き彫りになった。

 東電と双葉地方広域市町村圏組合消防本部によると、男性は13日から原発で収束作業に従事。14日は午前6時に作業を始め約50分後、体調不良を訴えて医務室に運ばれた。1人しかいない勤務医の勤務時間(午前10時~午後4時)外だったため、心臓マッサージなどの講習を受けた東電社員の「医療班」が応急手当てをした。既に意識は無く呼吸も確認できなかったという。

 原発からの救急搬送を巡り、県災害対策本部と消防、東電の3者は原発事故後、約20キロ南の拠点施設ナショナルトレーニングセンター「Jヴィレッジ」(楢葉町)で受け渡すよう取り決めている。このため同7時35分ごろ業務用車両に男性を乗せ原発を出発、8時10分ごろ着いたJヴィレッジで、常駐医師が心臓マッサージなどをしたが回復せず、同35分ごろ救急車に乗せられた。

 9時7分に原発から約45キロのいわき市立総合磐城共立病院に到着。発症から2時間が過ぎており、9時33分に死亡が確認された。福島県警は医師の診断結果などから心筋梗塞(こうそく)の可能性があるとみている。

 3者の取り決めは救急隊員の安全確保のためで、同消防本部は事故前なら原発から約4~5キロの病院に搬送していた可能性があるとしている。

 東電福島事務所は14日夜の会見で「診察できる医師を近くに置く態勢を検討したい」と述べた。【仙石恭、根本毅】

毎日新聞 2011年5月15日 東京朝刊






第1原発収束作業で初の死者 医師診断まで1時間
 東京電力は14日、福島第1原発の集中廃棄物処理施設で機材を運搬していた60代の男性作業員が体調不良を訴えて意識不明となり、病院に運ばれたが死亡したと発表した。事故の収束作業中に死者が出たのは初めて。けがなどはなく、死因や詳しい状況を調べている。
 東電によると、第1原発の救急対応は、委託を含む産業医が常駐するものの原発内に待機するのは午前10時から午後4時までに限られる。傷病者が発生した場合は、医師が24時間常駐し医療設備も整うJヴィレッジ(楢葉、広野町)の医務室に急いで運び診断、その後、救急病院に搬送する。

 14日は、男性が倒れたのが医師がいない早朝だったため、医務室で応急手当ての研修を受けた医療班の東電社員4人が救急対応を行った。意識はなく、自発呼吸をしていないことを確認したという。速やかに搬送するはずのJヴィレッジには倒れてから約45分後に向かい、到着は約1時間後と長時間を要した。東電は報道陣に対し「搬送に時間がかかっている。救急時態勢の在り方を見直さなければならない」としている。
(2011年5月15日 福島民友ニュース)






東日本大震災:福島第1原発事故 作業員死亡 搬送に2時間 片岡明彦氏の話
 ◇救急体制の整備を--労災に詳しい関西労働者安全センターの片岡明彦事務局次長の話
 救急搬送に2時間もかかる現状は問題だ。福島第1原発の収束作業では、作業員の命や健康がないがしろにされているのではないか。急患が出た場合、また同じことが繰り返されてしまう。ヘリコプター活用など体制を整える必要がある。

毎日新聞 2011年5月15日 東京朝刊