韓国前大統領が死亡、自殺か 短い遺書、不正資金疑惑で捜査中
【ソウル23日共同】韓国警察当局は23日、盧武鉉前大統領(62)が同日朝、韓国南部の慶尚南道金海市郊外の自宅近くの山から転落、死亡したと明らかにした。前大統領は有力後援者から600万ドル(約5億7000万円)余りの不正資金を供与された疑惑で先月末に最高検の事情聴取を受けた。前政権で大統領秘書室長を務めた側近の文在寅弁護士は前大統領が家族あての短い遺書を残し、飛び降り自殺を図ったようだと述べた。
疑惑を苦に自殺した可能性がある。韓国KBSテレビによると、前大統領は遺書で「ひどくつらかった」と心境を明かし、火葬してほしいと記していた。
韓国では全斗煥、盧泰愚の両大統領経験者が不正事件で逮捕、収監されたことはあるが、自殺した例はない。突然の事態に韓国の国民や政界は強い衝撃を受けている。
韓国大統領府によると、李明博大統領は前大統領の死亡を受け「信じられない。悲痛な出来事だ」と述べ、哀悼の意を表明した。
文弁護士によると、転落したのは同日午前6時40分ごろ(日本時間同)で、警護要員1人と登山中だった。同9時半ごろ死亡が確認された。病院は死因を頭部損傷と判断されると発表した。
前大統領は疑惑をめぐる容疑をほぼ否認していたが、立件は避けられない状況で、最高検が近く逮捕状を請求するか、在宅起訴にするか最終的な判断を行う見通しだった。韓国法務省は同日、前大統領の死亡を受け、不正資金供与疑惑に関する最高検の捜査が終了する見通しだと発表した。
前大統領は1946年8月生まれ。商業高卒で司法試験に合格、人権派弁護士として活躍した後、政界に転身。国会議員などを経て2003-08年まで大統領を務めた。金大中元大統領の対北朝鮮「包容政策」を継承・発展させ、07年10月には金正日総書記と南北首脳会談を行った。
国内では学生運動出身の若手側近らによる政権運営を行い、軍人出身大統領時代の人権侵害などの真相究明を図る「歴史清算」を推進したが、保守派との対立も激化。当時の小泉純一郎首相による靖国神社参拝を激しく批判し、竹島(韓国名・独島)問題をめぐっても日本との対立を深め、日韓関係が悪化した。
2009/05/23 13:05 【共同通信】
盧武鉉前大統領の遺書内容
【ソウル23日共同】韓国警察当局が23日公表した盧武鉉前大統領の遺書の内容は次の通り。
あまりに多くの人々に迷惑をかけた。
私のせいで多くの人が受けた苦痛はとても大きい。
これから受ける苦痛も推し量ることができない。
余生も他人の足手まといになるしかない。
健康がよくなく、何もできない。
本を読むことも、文章を書くこともできない。
あんまり悲しむな。
生も死も、みな自然の一かけらではないか?
すまなく思うな。
誰も恨みに思うな。
運命だ。
火葬してくれ。
そして家の近くに、とても小さな石碑を1つだけ残してくれ。
昔から考えていたことだ。
2009/05/23 18:50 【共同通信】
http://www.47news.jp/CN/200905/CN2009052301000837.html