東京海洋大のチームは15日、福島県いわき市の沿岸で今年7月に採取したプランクトンから高濃度の放射性セシウムを検出したとする調査結果を発表した。東京電力福島第1原発事故の放射性物質が取り込まれたとみられ、プランクトンを餌とする魚類への影響が懸念される。石丸隆教授は「食物連鎖で魚にどのように濃縮されるか分からないので継続的な調査が必要だ」と話す。
チームは7月上旬、いわき市の沿岸から60キロ沖までを航海し、プランクトンや小型の底生生物を採取。検出したセシウムは、沿岸近くのプランクトンが最高で1キロ当たり669ベクレルと高く、沖合10キロでは同6ベクレルと低くなった。また底生生物のクモヒトデからは同137ベクレルを検出。底生生物は海底にたまった放射性物質を取り込むため、今後濃度が高くなる恐れがあるという。
単純比較はできないが、食品としての魚介類の暫定規制値は1キロ当たり500ベクレルと定められている。
毎日新聞 2011年10月15日 21時56分(最終更新 10月16日 0時59分)
プランクトンから高濃度セシウム
10月15日 4時54分
ことし7月に福島県いわき市の沿岸で採取したプランクトンから、放射性セシウムが高い濃度で検出され、調査を行った東京海洋大学の研究グループは、食物連鎖によって、今後、スズキなど大型の魚で影響が本格化するおそれがあると指摘しています。
東京海洋大学の研究グループは、東京電力福島第一原子力発電所から流れ出た放射性物質の影響を調べるため、ことし7月、いわき市の沿岸から沖合およそ60キロまでを調査船で航海し、プランクトンなどを採取しました。
このうち、沿岸3キロ付近で採取した動物性プランクトンを分析した結果、放射性セシウムが1キログラム当たり669ベクレルの高い濃度で検出されました。半減期が2年のセシウム134が含まれることから、原発から流れ出た放射性物質がプランクトンに蓄積したものとみられています。
動物性プランクトンは、さまざまな魚の餌になることから、研究グループでは、食物連鎖によって放射性物質の蓄積が進み、今後、スズキなど大型の魚で影響が本格化するおそれがあると指摘しています。
研究グループのリーダーを務める石丸隆教授は「この海域では南向きの海流の影響で、原発から高い濃度の汚染水が継続して流れ込んだためにプランクトンの濃度が高くなったとみられる。魚への影響がいつごろまで続くのかさらに詳しく調べる必要がある」と話しています。