原子力安全・保安院は23日、東京電力の復旧チームが福島第一原子力発電所2号機付近の作業中に、推定放射線量が1時間あたり500~720ミリ・シーベルトに達するおそれが生じたとして、作業を一部中断していたことを明らかにした。
原因については不明。
この場所は、原子炉内の蒸気を送るための配管があり、そこから放射性物質がもれている可能性もある。
保安院によると、線量の異変が認められたのは18日。同日午前10時半、配管系修理のために、原子炉建屋に隣接するタービン建屋に作業員2人が入ったところ、それぞれ5分間で50~60ミリ・シーベルトを記録したという。このため、作業員を建物から退避させ、予定されていた配管ポンプなどの修理は、現在も中断しているという。
2号機のほかの部分では作業が行われているが、放射線量が高いことに加え、津波で水をかぶった機器が多いために排水作業も必要で、作業は難航している。
(2011年3月24日00時07分 読売新聞)
福島原発、復旧作業は一進一退:電源は1号機まで、3号機から黒煙(1)
3月23日(ブルームバーグ):東日本大震災で過去に例のない被害が出ている東京電力福島第一原子力発電所の復旧作業は一進一退の状態が続いている。電源は1号機の原子炉のデータを計測し表示する機器へ接続できたものの、3号機からは灰色がかった煙が上がるなど、一部で作業員を退避させる事態も起きている。
原子力安全・保安院によると、23日の午前1時40分に外部電源は1号機の中央制御室の計測機器までつながり、計測機器の状況を確認した後に稼動させる予定。3、4号機も計装計電源への接続は昨夜に完了している。
3号機の中央制御室は、22日午後10時43分に通電し、照明が点灯した。同制御室の照明と給水ポンプは同じ電源を共有しているため、海水を淡水に変えて炉心に注入する体制を整えて23日にも稼働させることができる見通しだったが、黒煙が発生したため、作業員は退避している。午後4時から放水を予定していた横浜市と東京都の消防隊員による作業も見送られている。
保安院の西山英彦審議官によると、18日午前10時半ごろに原子炉建屋に隣接するタービン建屋内でポンプ交換の作業をしていた、東電と関連会社の社員2人から5分間に50-60ミリシーベルトと、毎時に換算すると500ミリシーベルト以上に相当する放射線量が測定された。そのため、ポンプ交換の作業は中断しているが、同機の電力復旧作業全体は中断していないとしている。
半面、東電原子力設備管理部の黒田光課長は、同500ミリシーベルトの放射線量測定について否定し、東電から保安院への伝言の過程で食い違いが生じたのではないかとの見方を示していた。
1号機の圧力容器も温度が上昇
1号機の圧力容器も温度が一時400度と、設計温度の302度を上回ったため、23日午前2時32分に消防ポンプ車で炉心に海水の注水作業を開始した。その後、午前10時時点で、炉心の温度は390度に下がったという。
使用済み燃料プールへの放水作業では、東京消防庁ハイパーレスキュー隊が22日に3号機へ約180トン、4号機へはコンクリートポンプ車を使用して約150トンをそれぞれ実施した。3号機の使用済み燃料プールへはこの日35トンの海水が注入された。
更新日時: 2011/03/23 18:26 JST