東電、「すぐに水素爆発する恐れはないが、(NRCの)指摘を踏まえた」
窒素注入は米NRCの助言、水素爆発再発を警告
新たな水素爆発を防ぐため、東京電力は福島第一原子力発電所1号機の原子炉格納容器に窒素を注入しているが、この措置は米原子力規制委員会(NRC)が報告書の中で必要性を強調していたものだ。
報告書は、同原発の現状について冷却のために原子炉に注入した海水の塩分が炉内にたまり、十分な冷却ができなくなっていると警告している。
NRCは、原発の安全審査や規制、放射性廃棄物管理の監督に強い権限を持つ米政府の独立機関。日米政府が福島第一原発事故の対応のため設立した連絡調整会議にも参加している。
NRCのチームが先月26日付でまとめた報告書は、1~3号機について、核燃料の一部が溶け、圧力容器の底にたまっていると分析。海水中の塩分が析出して燃料を覆い、冷却を妨げていると指摘した。特に、圧力容器内の温度が高い1号機で、塩の量が多いと懸念を表明している。2、3号機は、注水しても圧力容器の水位が上がらず、一部が壊れている可能性を示唆した。
また、海水は真水に比べて、放射線による分解で水素を発生しやすいと指摘。海水に溶けていた酸素と反応して、水素爆発を起こす危険があると警告した。
窒素注入は、その対策としてNRCが提案していたもので、東電は7日、「すぐに水素爆発する恐れはないが、(NRCの)指摘を踏まえた」と説明した。
(2011年4月7日21時58分 読売新聞)